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2022.12.14 「そのお口の乾燥と渇き、ドライマウスかも?」
「そのお口の乾燥と渇き、ドライマウスかも?」 みなさん「ドライマウス」についてご存知ですか? 最近メディアでも時折取り上げられるようになってきたので、聞いたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。 ドライマウスとは、口腔乾燥症とも呼ばれ、その名の通り、口腔内の唾液の分泌量が減少し、お口の中が乾燥する症状のことです。 罹患者数は約3000万人程で、現在も増加傾向にあり、現代病の一つとも言われています。 年齢としては、50歳以降で女性に多いとされます。 最近お口の中にねばつきを感じる、あるいは渇いた感じがするという方は、もしかしたら唾液の分泌量が減ってきているのかもしれません。 このドライマウスのその原因はさまざまで、非常に多岐に渡ります。 今回は「ドライマウス」について、その原因や治療方法などについて掘り下げてお話していこうと思います。

ドライマウスの症状とは?

上で少し触れたように、唾液の分泌量が減ると以下のような自覚症状があります。 ・乾燥した食べ物(パンやクッキーなど)が食べにくい ・飲み込みにくい ・食事の際、常に飲み物がないとうまく飲み込めない ・味覚が変わった気がする ・口の中がネバネバする ・口臭が気になる ・入れ歯が合わない、すぐに傷ができる これらの中にご自身に当てはまるものはあるでしょうか。 では次に、ドライマウスの原因についてお話していきます。

ドライマウスになる原因は何?

上でお話したように、原因は多岐にわたります。 ここでは、原因として臨床でよくあげられるものを紹介します。

全身疾患/お薬の影響

ドライマウスの原因として最も多いのが、全身疾患、及びそれに伴う内服薬の影響によるものです。 糖尿病、腎疾患、高血圧、などの循環器系疾患や精神疾患などの既往歴、現病歴がある方は、治療薬として出されているお薬の副作用によって全身の水分量が減り、それに伴って唾液の分泌量の減少がおきます。

シェーグレン症候群

まず、シェーグレン症候群という病名を初めて聞いた方がほとんどかもしれません。 先にお話した全身疾患のほか、ドライマウスの原因疾患として臨床で遭遇するものの一つで、自己免疫疾患です。 涙腺や唾液腺をはじめとする外分泌腺に炎症が起き、それらが破壊されることによってドライアイ、ドライマウスのような症状が起きます。 後で詳しくお話しますが、ドライマウスの診察や治療においては、必ずこのシェーグレン症候群の有無を検査します。 というのも、他の原因とシェーグレン症候群とでは、治療アプローチが異なるからです。 また、ドライマウスやドライアイ以外にも何らかの全身症状が出ていることもあり、こちらの診査も重要となります。

加齢やストレス

年を重ねるにつれて、体の水分量は減少していきます。 それに合わせて、唾液の分泌量もやはり高齢になればなるほど減少していきます。 また、唾液を分泌する唾液腺とよばれる器官、細胞自体も、加齢によって萎縮、消失し、分泌する機能が衰えていくことになります。 例えば、臨床において、入れ歯治療における唾液は義歯の吸着を得たり、擦れたりしないようにする上で重要なのですが、唾液の分泌が少ないご高齢の患者様の場合、義歯の治療が上手く進まないことがあります。 一方、女性の場合、更年期を迎えるとホルモンバランスの乱れから自律神経の不調が起き、これによって、唾液の分泌が減少するとも言われています。 その他、日常で生じる過度なストレスによっても同様に自律神経の不調が起きます。 この場合は、年齢や男女問わず、唾液の分泌量がやはり減少します。

ドライマウスの検査法は?

口腔内診査や既往歴(内服薬の確認など)の聞き取り等を行った後、最初に「唾液の分泌量を調べる検査」を行います。 その結果、「減少」であれば、シェーグレン症候群の有無の検査を行っていきます。 一方、「正常」である場合、あるいは「減少であっても原因が明確」な場合や、シェーグレン症候群の症状に当てはまらない場合などは、シェーグレン症候群以外の他の原因へのアプローチを行うことになります。 ただ、唾液の分泌量については、日常生活の中でも時間帯によって変化するものであり、正確に測定できないこともあります。 問診や体の状態含めて総合的に判断して進めていく必要があります。

ドライマウスの治療方法は?

原因が明確であれば、まずはその原因にアプローチすることが原則です。 全身疾患のために服用している薬が原因の場合、症状によってはかかりつけ医と相談することもあります。 その他、自分で出来る口腔ケアの実践や生活習慣の見直しが重要です。 原因のところでお話したように、ホルモンバランスの乱れや日々のストレスへの対応としては、やはり日々の生活リズムを整えることや日頃からストレスをためないように心がけることなどがあげられます。 一方で、加齢の影響や服用を続けなければならない薬の影響がある場合などは、口腔ケアを取り入れるなどの工夫が必要です。 ドライマウスについては、冒頭にお話ししたように、原因を一つに絞ることができないことがよくあります。 また、それ故、根本的な原因の解決に至らないこともあります。 いろいろな可能性を考えながら、治療に向き合っていく必要があります。

自分でできる口腔ケア

今回、口腔ケアとして、原因に関わらず取り入れたいものをここではあげてみようと思います。

唾液腺マッサージ

唾液腺を刺激して唾液の分泌を促す方法です。 唾液腺のある耳の前、顎先の下、下顎のエラの下・裏側あたりの3箇所を指でマッサージします。

保湿ケア

不足する潤いを補う方法で、口腔湿潤ジェルなどを口腔内に塗布します。 義歯を使用している方には特におすすめです。

食事内容の工夫

唾液の分泌を促すような酸っぱいもの(レモン、梅干し)を取り入れる、また咀嚼回数を増やして唾液の分泌を促すために、少し硬めの食材を使用する、などです。 その他、体が水分不足にならないように、日頃から水分補給を心がけるなど、少しずつでも取り入れられるケアがあります。

まずは歯科医院で相談!

ここまでドライマウスについてお話してきましたがいかがでしたでしょうか。 もし、今お口の乾燥が気になっている方は、まずは歯科医院で相談されることをおすすめします。 お口の状況は一人ひとり異なります。 自分に必要なケアや治療を早く知るためにも是非診てもらいましょう。 最近では、大学病院などでは「ドライマウス外来」を設けているところもあり、より専門的な治療が必要であればかかりつけ医から紹介してもらうことも可能です。 そして今回の記事も参考に、是非口腔ケアも今日から生活に取り入れていただければと思います。