みなさんは歯のかぶせものをするときにどのような治療をしているのかご存知ですか？今回は白いかぶせものをするときに欠かせないファイバーポストコアによる支台築造について説明していきます。
目次
支台築造とは？
虫歯が進行していくと、歯の神経まで感染してしまい神経を取る治療をしなければならなくなります。歯の機能を回復するためには最終的にかぶせものを入れなければなりませんが、神経の治療をした歯では、歯質が少なくなってそのままではかぶせものを入れることができない状態となります。そこで、その歯の根のところに土台を立ててかぶせものを入れられるようにするのですが、その土台づくりのことを支台築造といいます。
支台築造するときには土台を支える心棒が必要になります。このような心棒を歯科用語でポストといいます。また、このポストを入れる支台をコアといいます。支台築造されている歯のことを、ポストが入っているので一般的に「差し歯」と呼ばれています。今までポストは金属で作られていました。しかし最近では医療技術の発達により歯科用プラスチックを使った土台が使われるようになってきています。2016年からファイバーポストコアが保険適応になり、ますます使われるようになってきました。
根の治療
支台築造をする前に根の治療をおこないます。歯の根の治療は最も再治療が多い歯科治療のひとつなので、ここをしっかり治療しないと歯の寿命が短くなってしまいます。根の治療は専用の器具を使って根の中を掃除し、綺麗になったところに薬液を満たして消毒する、という手順を何度か繰り返すので、患者さんには何度か通っていただかなければなりません。まれに根の治療の途中で痛みがなくなるため来院しなくなってしまう患者さんがいるのですが、これは非常に危険なため、最後まで治療を続けるようにしてください。中途半端な状態で治療を中断すると、最初に来院したとき以上に悪化してしまう場合があります。きちんと根の治療がされていることが前提のもと、支台築造をおこないます。
ファイバーポストコア
◆メリット
歯根破折は支台築造を起因とするトラブルで最も多いです。歯根が折れてしまうと抜歯を余儀なくされてしまいます。金属は歯根に比べて硬いので、噛むたびに金属部分がくさびを打つように歯根に力がかかります。これに耐え切れなくなると歯根が折れてしまうのです。それに比べてファイバーポストは弾性係数が歯根と近いといわれており、金属より歯根破折が起こるリスクが少なくなるといわれています。歯にかかる負担が少ないということは結果的に歯を長持ちさせることができます。
また色が白または半透明のため、上から白いかぶせものをしても色調を悪くさせることがありません。自然な美しい白い歯を手に入れることができます。難しい審美性が求められるようなところにはファイバーポストコアを使うことで容易に応用することができます。金属を使わないので金属アレルギーの心配もありません。生体親和性に優れており、安心して使っていただくことができます。
◆デメリット
歯科治療は歯の状態に大きく依存するので、ファイバーポストコアが適応でない場合があります。また、保険が適応される症例とそうでない症例があるので、保険適応とならない場合は自費診療となり、費用が高くなります。
メタルコア
ファイバーポストコアに対して、金属でつくったコアをメタルコアと言います。
◆メリット
メタルコアのメリットは、コアが金属でできているのでコア自体の強度が高いことと、保険適応のため安価であることです。また、製作手順がシンプルで簡単なため、患者さんの歯の状態や術者の技術に影響されず、幅広い症例に適応できます。
◆デメリット
デメリットとしては先ほども説明したように歯根が破折しやすいことが挙げられます。歯根が破折してしまうと抜歯せざるを得なくなります。抜歯となると、抜けたところをそのままにしておくわけにはいかないので、インプラントやブリッジなどの治療が必要となり結果的に経済的な負担も増えてしまいます。また、メタルコアはファイバーポストコアに比べて歯を削る量が多いです。
金属を使っているので金属アレルギーの方は使えず、また時間をかけて金属イオンが溶け出るので金属アレルギーを発症してしまう可能性もあります。金属の色をしているため、歯ぐきから色が見えてしまったり、光を透過しないので歯が暗い色になりやすいです。再治療が必要になった場合も、金属は硬いので取り除くのがファイバーポストコアに比べて難しくなります。
まとめ
いかがでしたか？ファイバーポストコアにはメリットデメリットがそれぞれあります。歯は毎日使うものなので、担当医とよく相談して、自分に合った治療法を採用しましょう。当院でもファイバーポストコアを用いた治療を行なっておりますので、お気軽にご相談ください。