転んで歯をぶつけて色が変わってきた、という経験はありますでしょうか?
ぶつけてしばらくは問題がなかったのに、しばらく経ってから歯が変色してくることがあります。
これは、歯をぶつけたことによって歯髄が死んでしまったことが原因となります。今回は怪我などの外傷が原因で歯髄が壊死してしまうことについて説明していきます。
目次
歯の外傷とは?
歯や顔面、唇などをぶつけて傷を負うことを外傷といいます。いわゆる歯のケガのことです。歯の外傷には程度があり、その程度によって治療方法が変わってきます。
◆見た目はなんともない
歯をぶつけたけれど見た目には何の影響もない場合があります。この場合は、実際に歯に何も影響がないこともありますが、打撲によって歯の神経だけが死んでしまったり、根が吸収してしまっていることがあります。
◆ヒビが入った
歯のいちばん表層のエナメル質にヒビが入っただけなら痛みはありません。象牙質にまで達するヒビが入ると少ししみることもあります。
◆欠けた
エナメル質が欠けた場合は外傷の程度は軽度です。象牙質まで欠けている場合は中程度です。神経の層まで欠けてしまっている場合は重度と言えるでしょう。
歯の根の部分が折れてしまった場合はさらに重度で、歯を残せる可能性は低くなります。いずれの場合も治療が必要になります。
◆グラグラする
歯は折れていないけれどグラグラ揺れていたり、場所が変わってしまうことがあります。また完全に抜けてしまう場合もあります。触ったときなどに痛みを伴うことが多いです。
治療のゴール
大人の歯と子どもの歯で治療のゴールや治療方法が大きく変わってきます。
◆大人の歯
大人の歯、永久歯の治療目的は、歯を支えている歯根膜や歯髄を通っている血管を治し、もとの状態に戻すことです。見た目も元に戻り、今まで通りその歯を使えるようにすることが目標となります。
生えたての永久歯の場合は歯髄の再生能力が高いので、経過観察が重要になります。1ヶ月、3ヶ月とこまめに予後を確認して、最低でも1年間は観察したほうが良いでしょう。
◆子どもの歯
子どもの歯、乳歯の治療目的は、後から生えてくる永久歯に影響が出ないようにすることです。乳歯は将来的に抜けるので、程度によっては先に抜いてしまうことも考えられます。乳歯の下に永久歯が生えてこようとしている場合、後から生えてくる永久歯が悪影響を受けないように治療します。
治療方法
◆大人の歯
大人の歯、永久歯では、まず動いてしまった歯を元の位置に戻す、つまり整復をします。この後骨が元に戻るのを待つ必要があるので半年ほど固定します。この場合は、歯髄に栄養を送っている血管が切れてしまうので歯髄が壊死してしまいます。そのため予防的に根の治療をおこないます。
生えたての永久歯は根が未完成のため歯髄の治癒力が高いです。そのため、自分の力で治癒することと、もう一度出てくることを期待して経過観察します。歯髄の色が変わってきたり、痛みが出たりなど歯髄壊死の兆候が出てきたら根の治療をおこないます。
◆子どもの歯
子どもの歯、乳歯では、歯髄の治癒力と自然に出てくることを期待して経過観察とすることが多いです。ただ、後から生えてきている永久歯に悪影響を与えるようであれば抜くこともあります。
歯髄壊死で歯の色が変わってしまったら?
◆ホワイトニング
外傷が原因の歯髄壊死では、歯の形は保たれたけれど時間が経つにつれて歯の色が変わってきてしまったというパターンが多いです。外傷歯が起こりやすいのは、やはり前歯なので色が変わってくると目立ってしまいます。
まずは根の治療をして壊死した神経を全て取り切らなければなりません。変色した歯は、その後にホワイトニングをすることができます。
歯科医院でおこなうオフィスホワイトニングや、家でマウスピースでおこなうホームホワイトニングは歯髄が生きている歯にするものです。
歯髄が死んでしまった場合はウォーキングブリーチといって専用の薬を根の治療をした後の歯に入れることによって脱色することができます。
◆かぶせもの
ホワイトニングで歯を白くするには限界がありますので、全体的に変色してしまっていたり、黒くなってしまっている場合にはホワイトニングよりもセラミック治療のほうが適しているかもしれません。
セラミック治療には歯を削ってかぶせものですっぽりと歯を覆うクラウン治療と、歯の表面だけを削ってラミネートベニアという薄い貝殻状のセラミックを貼り付けるものもあります。
まとめ
いかがでしたか?歯のケガは歯髄壊死してしまう可能性があります。
外傷の程度によって治療方法が変わってきますので、歯にケガをしたらすぐに歯科医院を受診するようにしましょう。