こんにちは
歯ブラシや歯磨き粉などのCMでプラークコントロールという言葉をお聞きになったことありませんか?
このため、”プラークコントロール イコール 歯磨き”だと思っていらっしゃる方が多いように思われます。
確かにその認識で間違いではないのですが、プラークコントロールは単なる歯磨きではなく、歯の健康を保つ上でのカギです。
そこで今回は、プラークコントロールの重要性について、効果的な方法を含めて解説します。
これを読んでいただければ、プラークコントロールの重要性がわかり、歯の健康を保つ上での不安や疑問が少しでも解消されるのではないかと思います。
プラークコントロールについて
まずはプラークコントロールについて解説します。
プラークコントロールについて
歯の表面を爪楊枝や爪で軽く擦ってみてください。
もしかしたら、白いカスのようなものが取れるかもしれません。
この白いカスがプラークです。
プラークコントロールとは、このプラークを取り除くことを指しています。
プラークコントロールが重要な理由
歯周病の原因は、歯周病菌とよばれる細菌です。
歯周病菌は、数百とも数千とも言われるほどたくさんの種類がありますが、いずれの歯周病菌は、プラークの中に潜んでいます。
歯周病の大部分が、プラークによって引き起こされていることが明らかになっていますし、病気の原因を取り除かないことには病気の治療は進みません。
こうしたことから、プラークコントロールは、実は歯周病治療の基礎となる最も大切な処置に位置付けられています。
同様に、虫歯の原因菌もプラークの中にいます。
プラークが残ったまま虫歯治療をしても、やはり虫歯治療の効果は不十分になります。
虫歯治療においても、虫歯予防という意味だけでなく、虫歯治療の効果を保つためにもプラークコントロールは大切なのです。
プラークコントロールが不十分だと
もし、プラークコントロールが十分できていなかったら、どうなるのでしょうか。
歯周病治療には、歯石の除去や噛み合わせの調整、外科治療などいろいろな方法があります。
プラークコントロールがしっかりとできていない状態でこうした治療を行っても、実は治療の効果はほとんど得られません。
そうです、プラークコントロールが十分にできていない状態では、歯周病治療は失敗する可能性がとても高くなるのです。
言い方を変えると、歯周病治療が成功するかどうかはプラークコントロールがカギになると言っても過言ではないわけです。
虫歯治療も歯周病治療と同じです。
プラークコントロールができていないと、容易に虫歯が再発します。
せっかく治してもすぐに虫歯が再発するようでは、意味がありません。
プラークコントロール不足は虫歯治療の失敗の原因にもなり得るわけです。
プラークコントロールの種類
プラークコントロールは、ご自身で行うセルフコントロールと歯科医院で行うプロフェッショナルコントロールに分けられます。
セルフコントロール
セルフコントロールは、ご自身で行なっていただく日常生活でのプラークコントロールです。
セルフコントロールでは、プラークを歯磨きで取り除くのが基本です。
歯ブラシで歯を磨くだけではセルフコントロールは難しいです。
なぜなら、歯ブラシは、歯の面を効率よくきれいにできますが、歯と歯の間を磨くのは得意ではないからです。
しかも、歯周病や虫歯は歯と歯の間から発生することが多いので、歯と歯の間の歯磨きはとても大切です。
そこで使っていただきたいのが、歯間ブラシやデンタルフロスです。
歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間まできれいに磨いてください。
この他、プラークが増えやすい甘い食べ物を減らしたり、プラークがつきにくくなる繊維質の食べ物を増やすなどの食生活の改善もセルフコントロールでは大切です。
プロフェッショナルコントロール
セルフコントロールがプラークコントロールの基本ですが、どれだけ頑張って歯を磨いても、歯並びや歯の形などによりどうしてもきれいにできないところはあるものです。
プロフェッショナルコントロールでは、こうしたセルフコントロールでは取りきれないプラークを取り除きます。
また、プラークをつきにくくするために、PMTCという電動歯ブラシのような器械を使った処置により歯の表面をツルツルした状態になるよう磨きます。
その上で、セルフコントロールを良くするために、歯磨きの方法の説明も行います。
歯ブラシの使い方
歯磨きの基本とも言える歯ブラシの使い方からご説明します。
もちろん、歯並びや歯の形は人それぞれ異なりますから、本当に適した歯磨きの方法は一言で言い表すことはできません。
歯ブラシの持ち方
歯ブラシは、鉛筆を持つように持ちます。
歯ブラシを歯に当てるときは、毛先が大きく広がると強く当てすぎです。
軽く広がるか、広がらない程度にするように気をつけてください。
前歯部
前歯を磨くときは、表側はさほど難しくはないでしょう。
ところが裏側はそうではありません。
前歯の裏側を磨くときは、歯ブラシを立てて毛先を縦むきに歯に当てるようにすれば磨きやすいです。
奥歯部
奥歯は前歯と違い、噛み合わせの面もしっかり磨く必要があります。
噛み合わせ面は、歯ブラシの毛先を真っ直ぐ当てて、小刻みに動かすようにしてください。
奥歯の裏側は、前歯と違い、歯ブラシを立てていれることは難しいです。
そこで、少し倒して斜めにすると歯ブラシを入れやすいです。
奥歯の裏側に歯ブラシの毛先があたったら、前後に小さく動かしながら1本1本を意識して磨くようにしてください。
歯間ブラシの使い方
歯間ブラシは、L字型とI字型の2種類があります。
前歯部
前歯部はL字型・I字型どちらでも使いやすいです。
歯と歯の間に歯間ブラシを入れ、歯の横面を数回擦ってきれいにしてください。
奥歯部
奥歯に歯間ブラシを入れる場合は、L字型が使いやすいです。
もし、I字型しかない場合は、ブラシを根元部分で曲げると入れやすくなります。
奥歯は、大きくお口を開けると頬が近づいて磨きにくくなりますから、あまり大きく開けないようにしてください。
そして、歯間ブラシを歯と歯の間に入れて、歯の面を数回擦ってください。
デンタルフロスの使い方
デンタルフロスは、ホルダー型とホルダーなし型の2種類あります。
使いやすいのはホルダー型ですが、価格はホルダーがないタイプより高くなります。
ホルダー型
ホルダー型は、糸鋸型とY字型があります。
前歯部は糸鋸型が、奥歯部はY字型が使いやすいです。
どちらも、歯と歯の間の上に当てて、斜め方向にスライドさせるようにして動かしながら、少しずつ入れていってください。
最も狭いところを通過したら、そのまま歯肉の下付近まで下ろします。
そして、上下に数回歯の横面を擦るように動かして、歯の横面をきれいにしてください。
ホルダーなし型
ホルダーがないデンタルフロスは、指に巻いて使います。
まずデンタルフロスを30~40cmほどの長さに切ってください。
短すぎると使いにくいのでご注意ください。
デンタルフロスの方側を左手の中指に数回巻き付けます。
右手を左手から10cmほど離して、今度は右手の中指に同じように巻き付けます。
両の手の親指と人差し指を使って、指の間が数cmくらいになるようにデンタルフロスをピンと張ってください。
これで準備完了です。
そして、デンタルフロスを歯と歯の間の上から、斜めにスライドさせるように動かしながら入れてください。
歯と歯の間の狭いところを通ったら、歯肉の下あたりまで下ろします。
デンタルフロスを上下に数回動かして歯の横面を擦り、終わったら、内側のデンタルフロスを離して、外側へ抜いてください。
■まとめ
今回は、歯の健康を守るプラークコントロールの重要性についてお話ししました。
プラークコントロールは、単なる歯磨きではありません。
プラークという歯周病や虫歯の原因を取り除くことから、歯の健康増進の基本と位置付けられています。
プラークコントロールの達成には、歯ブラシだけでは不十分で、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間まできれいにする必要があります。
歯の形や歯の並びが人それぞれ異なりますから、歯磨きの方法もそれぞれ異なります。
当院では、皆様一人一人に合った歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスの選び方や使い方を説明させていただいております。
プラークコントロールに不安のある方は、当院でぜひご相談ください。