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2023.12.26 オーラルフレイルとは?

オーラルフレイルという言葉を聞いたことがありますか?

オーラルフレイルとはキャッチコピーであり、専門用語では口腔機能低下症という正式な病名が付いています。

口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)は、口腔内の機能が低下した状態を指します。

口腔機能低下症は、口腔内の構造や機能に関連するさまざまな要因によって引き起こされる可能性があり、この状態は、食事や会話などの日常的な活動に支障をきたし、生活の質に悪影響を及ぼすことがあります。

今回は、高齢化社会で最近話題のこのオーラルフレイルについて詳しくみていきましょう。

目次 

  1. オーラルフレイルとは?
  2. 口腔機能低下症の実態
  3. 対処法
  4. 最後に

1.オーラルフレイルとは?

フレイルとは、医学用語で、健康と要介護の間の虚弱な状態を言い、

オーラルフレイルはフレイルの中に含まれています。

オーラルフレイルとは、

口の渇き、むせてしまう、硬いものが咬みにくい

などの症状がありフレイルがあると心臓病をはじめとしたさまざまな病気の経過に悪影響があることが指摘されています。

このオーラルフレイル、すなわち口腔機能低下症の主な原因としては、次のような要素が挙げられます。

①口腔内の構造的な問題

口蓋裂、顎の骨折、口腔内の腫瘍など、口腔内の異常な構造や形状の問題がある場合、正常な機能が妨げられることがあります。

②歯の喪失

歯の喪失は、咀嚼や発音などの口腔機能に直接的な影響を与える可能性があります。欠損した歯があると、咀嚼力が低下し、食べ物の適切な咀嚼が難しくなることがあります。

③顎顔面口腔筋肉の低下

加齢やパーキンソン病、筋ジストロフィーといった特定の疾患により、口腔周辺の筋肉の力や調整する能力が低下することがあります。これにより、口や顎回り筋肉の動きが制限されることがあります。

④神経障害

脳卒中、顔面神経麻痺などの神経障害は、口腔の筋肉や感覚に影響を与えることがあります。これにより、咀嚼や発音などの口腔機能のが低下する原因があります。

それでは口腔機能低下症の実態と詳しい対処法についてもう少し掘り下げてみましょう。

2. 口腔機能低下症の実態

口腔機能低下症とはいわば、口の元気が低下した状態で栄養の偏りやエネルギーの不足になり全身の健康に悪影響を及ぼします。

以前に比べて…

食べ物が口に残るようになった、硬いものが食べにくくなった、食事の時間が長くなった、食事の時にむせるようになった、薬を飲み込みにくくなった、口の中が乾くようになった、食べこぼしをするようになった、滑舌が悪くなった、口の中が汚れている、などがあります。

歯磨きの回数や時間が減ったり、義歯の不調があっても歯医者さんに行かなかったりすると、虫歯や歯周病が進行し歯の数が減ってしまいます。そうなると食べる力が低下して、食べにくい野菜やお肉を避けてしまいます。すると栄養の偏りやエネルギーの不足になり、全身の健康に影響を及ぼします。

3. 対処法

次に口腔機能低下症と診断された方へむけて、今後の向き合い方やトレーニングをお伝えしていきます。

年を取ると、お口の状態(歯数、環境、力、動き)に問題が生じやすくなります。

全身の健康のためにも、お口の機能を保ち、元気なお口で、豊かな食事と健やかな生活、楽しい毎日を送りましょう。

全身状態と生活

まず、全身状態と生活についてです。

・医科のかかりつけ医をもち、お薬の副作用にも気をつけましょう。

・栄養バランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。

・積極的な社会参加を心がけましょう。

・心身ともに健やかな生活習慣を心がけ、週に一度は外出しましょう。

口腔の状態

次に口腔の状態についてです。

口腔衛生不良を指摘された方は、

・歯磨きは1日2回以上、夜、寝る前にもしっかり行いましょう。

・舌の汚れを丁寧に清掃しましょう。

・歯間ブラシ・フロスを1日1回以上は使いましょう。

・ブクブクうがいをしっかりしましょう。

・義歯の汚れをしっかり取りましょう。

口腔乾燥指摘された方

口腔乾燥を指摘された方は、

・お口をよく動かすようにして、水分摂取やうがいを適切に行いましょう。

・耳下腺、顎下腺、舌下腺などの唾液腺マッサージを1日3回行いましょう。

・お口の保湿剤(液・ジェル・スプレー)を使用しましょう。

咬合力低下を指摘された方

咬合力低下を指摘された方は、

・義歯、う蝕、歯周病などの歯科治療を受け、咬み合わせをきちんと治しましょう。

・干し芋、スルメイカ、ドライフルーツなど歯ごたえのあるものを食べましょう。

・咬み合わせの力が発揮できるように咬む筋力を鍛えましょう。

舌口唇運動機能低下を指摘された方

舌口唇運動機能低下を指摘された方は

・早口言葉や滑舌の練習で、舌や唇を素早くしっかり大きく動かしましょう。早口言葉は大きな声ではっきりと。

    (例:生麦生米生卵、買った肩叩き高かった)

    (例:パタカパタカあいうえお)

    ・家族や友達とおしゃべりする機会を増やしましょう。皆で楽しくカラオケなどもおすすめです。

    ・吹き戻し笛など、唇や頬の力を鍛える器具や笛などを使用しましょう。

    低舌圧を指摘された方

    低舌圧を指摘された方は

    ・舌を口の中ではじいて、ポンッと音を鳴らす、舌鳴らしの練習をしましょう。

    ・舌で左右の頬を内側から押す、舌の筋力を鍛える顔の運動をしましょう。

    ・舌の筋力を鍛える器具を使用しましょう。

    咀嚼機能低下を指摘された方

    咀嚼機能低下を指摘された方は

    ・義歯、う蝕、歯周病などの歯科治療を受け、咀嚼機能を改善しましょう。

    ・咀嚼機能のトレーニングとして、咀嚼の訓練や、1口に20~30回咬むなどの食べ方指導を受けましょう。

    ・食事形態の指導を受けましょう。

    嚥下機能低下を指摘された方

    嚥下機能低下を指摘された方は、

    ・飲み込みの検査を受けましょう。

    ・飲み込みの力を鍛えましょう。

    ・呼吸の力を鍛えましょう。

    4.最後に

    口腔機能低下症の検査は、かつて65歳以上であったものが、令和4年より50歳以上に引き下げられました。今では街の歯科医院で検査できるところも増えてきています。

    早期発見のためにも、なるべく早めの歯科受診を心がけましょう。