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2023.1.14 歯並びをきれいにするだけにとどまらない矯正治療の必要性
こんにちは 矯正治療というと、どうしても、歯並びをきれいに整えることで見た目を改善するという点に目が向かいがちです。 ところが、矯正治療の目的は、単なる見た目の改善だけではありません。 実は、見た目の改善に匹敵するほど、それが矯正治療の必要性と言っても過言ではないほどの、大切な目的が矯正治療にはあります。 今回は、本当の矯正治療の必要性についてお話しします。

歯列不正のもたらす害悪

見た目が悪いだけにとどまらない、歯列不正の害をご紹介します。

しっかり噛めない

前歯は食べ物を噛み切る、奥歯は食べ物をすりつぶす役割を持っています。 したがって、前歯の歯並びが悪いと食べ物を噛みきれませんし、奥歯の歯並びが悪いとしっかりと食べ物を潰すことができません。 例えば、開咬という上下の前歯が触れ合わない歯列不正がありますが、開咬は食べ物を噛み切ることができません。 これは一例ですが、歯列不正が噛むという歯本来の役割に悪影響を及ぼすことがお分かりいただけると思います。

胃腸の不調

食べたものは、まずお口でしっかり噛んで小さくして消化しやすくします。 歯列不正があるとしっかりと噛めませんから、食べたものを消化しやすい小さなサイズに整えることができません。 このため、胃腸に絶えず大きな負担をかけることになりますから、歯列不正は胃腸の不調の原因になります。

発音がはっきりしない

声を出すとき口を開けていますが、歯と歯の間に隙間があるとそこから音が漏れて、発音が不明瞭になってしまいます。 隙間の多い歯列不正を空隙歯列といいますが、隙間が多いと音が漏れるので、はっきり発音できなくなります。

虫歯や歯周病のリスク増

虫歯や歯周病の原因は、虫歯菌や歯周病菌などの細菌です。 これら細菌は、プラークという歯の表面についた白いカスに潜んでいます。 このため、虫歯や歯周病の予防では、プラークを取り除く歯磨きが重視されているのです。 歯列不正の種類はいろいろありますが、その中のひとつに叢生(そうせい)があります。 叢生は、乱杭歯ともよばれ凸凹な歯並びになります。 歯並びが凸凹としていると歯ブラシが当てにくくなるので、虫歯や歯周病のリスクが上がります。 このように歯列不正は、虫歯や歯周病にも関係しています。

心理的な悪影響

歯並びが悪いと、顔つきにも悪影響がでます。 歯列不正が原因で見た目にコンプレックスを感じるようになると、社交性が下がり消極的な性格になりやすくなります。 歯列不正の改善により、笑顔が増えたというケースもあるほど、歯列不正がもたらす心理的な影響の大きさがご理解いただけると思います。

顎の骨格への悪影響

ヒトの顎の骨格は、小さい頃からの食べ物をしっかり噛んで食べるという刺激によって成長発育が促されることが明らかになっています。 歯列不正によって上顎と下顎の歯が十分噛み合わせられない状態になっていると、食事のときにしっかりと噛んで食べることができなくなります。 すると、下顎の骨格の成長発育が弱くなってしまい、顎の骨格が十分成長発育できなくなってしまいます。 この結果、顔つきに歪みが生じる可能性が生まれます。 このように、成長発育期にある子供の歯列不正は、顎の骨格の成長発育をも悪くするのです。

顎関節症の発症

顎関節やその周囲の筋肉に痛みが生じる顎関節症の原因は、さまざまです。 そのひとつに歯列不正があげられます。 矯正歯科を受診する歯列不正の方のうち、3割ほどに顎関節症の症状があるという調査結果もあります。 特に、受け口の影響が大きいとされており、噛み合わせたときに下顎骨が左右のいずれかの方向にずれてしまうことが原因と考えられています。

口臭

歯並びが悪いと歯磨きがしにくくなるのは先にお話した通りです。 実は、ヒトの口臭の原因の大多数はお口の中にあります。 磨き残しが多くなると、歯と歯の間に残った食べかすが細菌の温床となり、ニオイを発するようになります。 また、歯周病で歯肉が腫れて、磨きにくくなると同様にやはりニオイを発し始めます。 歯列不正は、口臭の原因にもなり得ます。

矯正治療のメリット

歯列不正がさまざまな害の原因となることは先ほどご説明した通りです。 では、矯正治療を受けるとどのようなメリットが得られるのでしょうか。

しっかり噛める

前歯や奥歯の噛み合わせが良くなるので、食べ物をしっかり噛めるようになります。 結果的に、胃腸への負担が軽くなり、胃腸の不具合が生じるリスクも低く抑えられます。

明瞭な発音

声を出すときに空気が抜けることがなくなるので、同じように声を出したつもりでも、よりはっきりと明瞭に声を出すことができるようになります。

虫歯や歯周病などのリスク軽減

歯並びがきれいに整えられると、歯磨きがしやすくなるので、プラークコントロールの効率が高まります。 このため、虫歯や歯周病のリスクが低くなります。

社会性の向上

歯並びを整えると、笑顔に自信がつくだけでなく、滑舌が良くなり発音がクリアになり、人前で話すことへの抵抗感がなくなるなど心理的な効果も得られます。 コミュニケーションに自信が持てるようになり、社会性も向上します。

顎の骨格の成長発育障害の予防

矯正治療を受けて、しっかりと噛めるようになれば、顎の骨格に適切な噛み合わせの刺激が加わるようになります。 まず、適度な噛み合わせの刺激が下顎骨の成長発育を促進します。 そして下顎骨の成長発育が、上顎骨の成長発育も促します。 こうして、顎の骨格の成長発育がスムーズに進むようになります。

顎関節症の予防

矯正治療を受けると、左右の噛み合わせのバランスが整います。 すると食事のとき、バランスよく食べられるようになり、下顎の動きが左右にズレることがなくなります。 下顎に過度な負担がかからなくなるので、顎関節症のリスクのひとつがなくなるというわけです。

まとめ

今回は、矯正治療の必要性についてご説明しました。 歯列不正は ①しっかり噛めない ②胃腸の不調 ③発音がはっきりしない ④虫歯や歯周病のリスク増 ⑤心理的な悪影響 ⑥顎の骨格への悪影響 ⑦顎関節症の発症 ⑧口臭 などの原因となります。 もちろん、これらの症状は歯列不正の状態や噛み合わせによって変わってきますし、必ずどれかが発症するというわけでもないです。 しかし、矯正治療を受けて歯並びを整えると、見た目が良くなることもさることながら、こうした病気や身体の不調を予防する効果も得られることに変わりありません。 ただし、単に歯をきれいに並べれば済むのかというとそうではなく、顎の動きも考えて歯並びを整えなければ、噛み合わせの改善は難しく、先に挙げた病気や不調の予防効果は期待できません。 当院は、矯正治療や噛み合わせの専門的な知識に加え、長年にわたる治療を通して得られた豊富な経験を持つ歯科医院です。 歯並びに悩みや不安のある方は、当院にぜひお越しください。