目次
◯根管治療とは
◆根管とは
◆根管治療が必要な状態
◯根管治療の流れ
◯治療回数
◆抜髄
□前歯
□奥歯
◆感染根管治療
□前歯
□奥歯
◯根管治療の期間
◯治療回数に差がでる原因
◯まとめ
◯根管治療とは
◆根管とは
人間の歯の内部には神経のお部屋があります。簡単にいうと、この歯の神経のお部屋が根管です。
前歯と奥歯では歯の大きさも異なります。ざっくりにはなりますが、前歯は平べったい形なのに比べて奥歯は丸っこい形をしていると思います。このように歯の形が異なるため、歯の内部の根管の数や形も歯によって異なります。
簡単な特徴として、前歯は根管の数が少なくて形も単純なことが多いのに対して、奥歯は根管の数が多くて形も複雑なことが多く、曲がっていたり、部分的に狭くなったところがあるものもよくみられます。
◆根管治療が必要な状態
虫歯ができても最初の頃は痛みなど感じません。しかし、大きくなっていくと、痛みを感じるようになっていきます。そのまま放っておくとどんどん大きくなって、虫歯菌が歯の神経まで到達し、虫歯菌に歯の神経が感染します。歯が何もしなくてもズキズキ痛む、痛み止めが効かない、夜眠れないといった強い痛みがあります。
更に虫歯が大きくなると完全に歯の神経が虫歯菌にやられてしまいます。つまり、歯の神経が死んでしまうのです。そうすると痛みは落ち着きますが、治ったわけではありません。実は悪化しているのです。
痛くなくなったからと放っておくと虫歯菌は更に悪さをしていきます。
歯の中だけではなく、歯を支える骨のほうにまで虫歯菌が広がっていくのです。そうすると再び痛みを感じるようになります。
その痛みは噛んだときに違和感がある、歯が浮いた感じがする、重い痛みといった比較的軽度の痛みです。体調の良い時は平気だったのに、疲れた時や体力が落ちた時に、急に痛みを感じることもあります。
また歯の周りの骨に虫歯菌の感染が広がっていくと、歯茎にニキビのような膨らみができてくることもあります。
◯根管治療の流れ
◆検査
虫歯や歯周病の状態をチェックします。検査では歯科医師が患者さんのお口の中を見るだけでなく、レントゲン撮影なども行うことで状態を詳しく調べていきます。
◆治療
必要があれば麻酔を行い、虫歯を取り除いていきます。銀歯や詰め物の中で虫歯になっている場合は入っている銀歯や詰め物を外してから虫歯をとっていきます。
虫歯が歯の神経まで感染していることが確認できたら神経を取っていきます。以前神経を取っている歯がまた虫歯になり、歯を支える周りの骨にまで虫歯菌の感染が広がっている場合には神経ではなく以前に入れた神経に変わる薬を取っていきます。
神経を取ったり、以前の薬を外したら、薬をいれて蓋をします。
◆根管の清掃
歯の根管の状態を確認しながら専用の細い針のような器具を使ってバイ菌の除去をしていきます。根管の形は複雑なことが多く、清掃は1度で終わらないことがほとんどで、数回かかります。
◆根管の消毒
根管の清掃をしたあとは消毒を行います。消毒をしたあとに蓋をして汚れが入らないように仮の蓋をして患部を保護します。その時に、必要があれば根管の中にバイ菌をやつける作用のあるお薬をいれて蓋をすることもあります。
◆根管の充填
清掃と消毒により根管がきれいになったら、神経にかわる薬を根管にいれてしっかりと蓋をします。
◆被せもの
虫歯が大きいため、歯の神経を取る治療が必要になっています。つまり、自分の歯は虫歯のために削られて薄くなっています。必要があれば自分の歯を補強したうえで型どりを行い、しっかりと噛めるように被せものをしていきます。
この治療のうち、根管の清掃と消毒を特に根管治療といいます。
◯治療回数
痛みの状態や根管の内部の状態によって回数が変わります。詳しく説明していきます。
◆歯の神経を取る場合
虫歯になって歯の神経を取る場合の回数の目安になります。
□前歯
前歯は奥歯に比べて、根管の数も少なく、1つであることが多いです。また、比較的まっすぐであったり、ゆるやかなカーブといった単純な形であることが多いです。1つの根管のみの治療であれば比較的早く根管治療は終わり約2回ほどです。
□奥歯
奥歯は前歯に比べて、根管の数も多く2~4本の根管があります。また、前歯と異なります、複雑な形をしていることが多いです。
単純に根管の数が多いため、その分きれいにするのに回数がかかり、根管治療は約3回ほどです。
◆感染根管治療
以前、虫歯になって根管治療を行い、神経にかわる薬をいれた歯が再び虫歯になったり、根っこの先でバイ菌が再び悪さをした場合の回数の目安になります。
□前歯
以前も神経の治療をしているにも関わらず、細菌が再び中で悪さをしています。また、以前神経を取った歯ですでに歯が弱ってしまっています。
そのため根管の数が少なく単純な形をしている前歯でも4回くらい治療が必要になります。
□奥歯
以前も神経の治療をしているにも関わらず、細菌が再び中で悪さをしています。また、以前神経を取った歯ですでに歯が弱ってしまっています。
また根管の数が多く複雑な奥歯では5回くらいの治療が必要になります。
◯根管治療の期間
治療の回数によって期間は異なってきます。
根管治療のペースとしては1週間から10日に1度くらいの治療が目安になります。そのため、前歯でも1ヶ月ほど奥歯になると2ヶ月から3ヶ月近く治療がかかることがあります。
◯治療回数に差がでる原因
主に4つの原因があります。
◆側枝の存在
根管が途中で迷路のように枝分かれしていることがあります。メインの根管に比べて枝分かれしている根管はかなり細いことが多いです。枝分かれしている根管をしっかり全て消毒するのはとても難しいです。しかし、しっかりと消毒しないとバイ菌が残ってしまい再発に繋がります。
そのため枝分かれしていると治療回数が増えます。
◆石灰化
根管が硬くなっていたり、塞がれてしまっていることがあります。
病気にならないようにするために塞がれてしまっていることもあるので、その場合はムリに治療しなくてもいいこともあります。しかし、塞がれてしまっている先で病気がある場合は治療が必要になります。イメージとしては土砂崩れを起こしているトンネルの土砂をどかしていくようなものです。せっかく土砂をどかしたのに、しっかり周りをかためないと再び土砂崩れを起こすことがあります。そのため、しっかりと治療をしていく必要があり、回数も増えます。
◆副根管の存在
見落とされがちな根管があります。例えば歯の根っこの数が3本の場合は根管が3つであることがほとんどです。しかし、たまに副根管といってもう1つの根っこの存在が隠れていることがあります。この根っこの治療が行われないでいると再発の原因にもなります。
見つけにくいものも、同じように見つけて消毒していかなくてはいけないので回数も増えます。
◆根管の複雑さ
根管の形によっては先端1/4でぐぐっと90度近く曲がっているようなものもあります。根っこの治療はまっすぐな細い針のような器具を使って行います。その細い針のような器具にプレカーブと呼ばれる湾曲をつけて清掃していきますが、曲がっているとそれだけ道具を使っていくのも難しくなります。そのため単純な形のものにくらべて回数も増えます。
◯まとめ
根管の治療はとても大切ですが、とても難しいものです。再発しないためにしっかりと消毒していく必要があります。回数がかかったり、同じ治療なのに歯によって回数も異なります。
気になることがあれば通っている歯医者さんに聞いてみましょう。