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2023.10.12 フッ素の効果的な配合量について

フッ素とは、
歯の表面に塗布することで、
むし歯の予防に効果を発揮するフッ化物のことです。

フッ素について、
歯科医院でよく聞かれる事を、
今回書かせて頂いています。

是非、参考にして下さい。

目次

◯フッ素の種類

◯フッ素の予防効果

◯効果的な配合量、使用方法

 ◆歯が生えてから2歳

 ◆3歳〜5歳

 ◆6歳~14歳

 ◆15歳〜成人・高齢者

◯フッ素の過剰摂取によるリスクと対策

 ◆歯のフッ素症

 ◆健康への影響

◯まとめ

フッ素の種類

フッ素濃度は、
歯磨き粉中に含まれるフッ素の量を表す指標です。

ppm(1ppm=0.0001%)という単位で表示されます。
一般的に、フッ素濃度が高いほど虫歯予防効果が
高いとされています。

しかし、フッ素濃度が高すぎると、
歯のフッ素症や健康への影響が懸念されます。

フッ素には、大きく分けて歯科医院用と家庭用の2種類があります。

 

①歯科医院用のフッ素

①歯科医院用のフッ素は、
高濃度のフッ化物を含むゲルや液体で、
専用の器具やブラシで歯に塗布します。

一般的には、3ヶ月に1回程度の頻度で行われます。

歯科医院用のフッ素は、
濃度9000ppm〜20000ppmと高く、
短時間で効果的にフッ素を取り込むことが出来ます。

虫歯予防効果は高いです。

 

②家庭用のフッ素

②家庭用のフッ素は、
低濃度のフッ素を含む歯磨剤やマウスウォッシュで、
毎日の歯磨きや口腔ケアで使用します。

家庭用のフッ素は、
フッ素の濃度が500ppm〜1500ppmと低いですが、
長期間で少しずつフッ素を取り込むことが出来ます。

家庭で行える為、好みや用途に合わせて選ぶことが出来ます。

フッ素の予防効果

フッ素は、歯の表面に付着することで、
虫歯の予防に効果を発揮するミネラル成分です。

フッ素は、主に3つの働きを持ちます。

⑴エナメル質の修復促進

酸によって歯から溶け出したカルシウムやリンを補うことで、
歯を強化します。

これを再石灰化と呼びます。

再石灰化とは、
虫歯菌が出す酸で溶けたエナメル質や象牙質を、
唾液中のカルシウムやリン酸で修復する自然治癒現象です。

しかし、再石灰化だけでは完全な修復ができません。

そこで、フッ素が役立ちます。

フッ素は再石灰化された部分に結合して、
より強固な結晶構造を作ります。

これにより、再石灰化された部分が酸に対して耐性を持つようになります。

 ⑵エナメル質の修復促進

歯質強化へ

エナメル質を酸に溶けにくい性質に変えて、
虫歯への抵抗力を高めます。

フッ素は再石灰化だけでなく、
元々健康な歯質も強くします。

エナメル質や象牙質は主にハイドロキシアパタイト
という結晶からできています。

しかし、ハイドロキシアパタイトは酸に弱く、
溶けてしまいます。

フッ素はハイドロキシアパタイト中の一部の水素原子と置換して、
フルオロアパタイトという結晶を作ります。

フルオロアパタイトはハイドロキシアパタイトよりも酸に強く、
溶けにくい性質を持ちます。

これにより、歯質が元の歯質よりも硬くなります。

 ⑶菌の働きの抑制

虫歯を引き起こす細菌の働きを弱めて、
酸が作られるのを防ぎます。

虫歯を引き起こす細菌は糖分を
分解してエネルギーを得る際に、
乳酸という酸を出します。

この酸が歯質を溶かして虫歯を進行させます。

フッ素は細菌の働きを妨げて、
糖分の分解を減らします。

これにより、酸の量が減って、
歯質へのダメージが軽減されます。

フッ素は、子供だけでなく大人にも必要です。

特に歯周病で歯茎が下がり、
歯根が露出してしまった場合は、
更に虫歯や歯周病になり易くなります。

そのため、フッ素を塗布して歯根部分を強化することが重要です。

フッ素の効果をより高めるためには、次のような事に注意しましょう。

①歯磨き後は10〜15mlの水で1回だけすすぎます。
これによって口の中にフッ素が残りやすくなります。

②毎日少しずつケアしていくことが重要です。
初期虫歯が修復されるまでには半年〜1年程度かかると言われています。

③量を守って使用します。
過剰摂取や誤飲を防ぐためにも注意が必要です。

④フッ素入り歯磨き粉を使うタイミングとしては、
就寝前が最もお勧めです。

就寝前に歯磨きすることで、
睡眠中に口腔内のフッ素濃度を高めることができます。

睡眠中は唾液分泌量が減少して口腔内が乾燥しやすくなります。
このときに口腔内にフッ素が多く存在すると、
再石灰化やフルオロアパタイト形成が促進されます。

また、睡眠中は飲食をしないため、
フッ素が口腔内に長く留まることができます。

これにより、フッ素の虫歯予防効果が最大限に発揮されます。

効果的な配合量、使用方法

フッ素配合歯磨剤の効果的な配合量は、
日本では医薬部外品として承認された最大濃度の1500ppm(0.15%)以下で、
適切に使用すれば有害な影響はありません。

但し、過剰摂取や誤飲には注意が必要です。

歯が生えてから2歳

歯が生えてから2歳というと、
乳歯がほぼ生え揃っている時期です。

この時期の子どもの歯は、
虫歯になり易いので、
フッ素を使って予防することが大切です。

毎日の歯磨きでフッ素入り歯磨剤を使用する事がお勧めです。
歯が生えてから2歳までは、
500ppm以下のフッ素入り歯磨剤を米粒程度(1-2mm)使って磨きます。

歯磨き後は10〜15mlの水で1回だけすすぎます。
飲み込まないように注意しましょう。

ティッシュなどで拭き取ってもいいです。

3歳〜5歳

3歳〜5歳は、乳歯が全部生え揃います。
日常生活で出来る事がどんどん増えてくる時期です。

この時期は、500ppm以下のフッ素入り歯磨剤を5mm程使って磨きます。

歯磨き後は10〜15mlの水で1回だけすすぎます。
子どもが歯ブラシに適切な量をつけられない場合は
保護者の方が歯磨剤を出してあげましょう。

6歳~14歳

6歳〜14歳は、乳歯から永久歯に生え変わってゆく時期です。

この時期は、1000ppm以下のフッ素入り歯磨剤を10mm程度使って磨きます。
歯磨き後は10〜15mlの水で1回だけすすぎます。

15歳〜成人・高齢者

15歳〜成人・高齢者では、
フッ素濃度が1500ppmの歯磨き粉を使用すると良いとされています。

フッ素濃度が高すぎると、健康への影響が懸念されます。
フッ素濃度が低すぎると、虫歯の予防効果が十分に得られません。

フッ素入り歯磨剤を15mm程度使って磨きます。
歯磨き後は10〜15mlの水で1回だけすすぎます。

30分程飲食を控えることが効果的です。

フッ素の過剰摂取によるリスクと対策

フッ素は適切な量と方法で摂取することで
虫歯予防に効果的な物質ですが、
過剰摂取すると逆効果になる場合もあります。

フッ素の過剰摂取によるリスクとしては以下の2つが挙げられます。

歯のフッ素症

歯のフッ素症とは、
歯質形成期(乳歯や永久歯が生えてくる時期)に
過剰な量のフッ素を摂取することで、
歯の表面に白い斑点や茶色の変色、歯質の変形などが生じる症状です。

歯のフッ素症は、見た目にも美しくなく、
歯の強度や機能にも影響を及ぼすことがあります。

歯のフッ素症は、一度発症すると治すことが難しいです。
そのため、予防することが重要です。

歯のフッ素症を予防するためには、以下のことに注意しましょう。

⒈歯質形成期にはフッ素濃度の低い歯磨き粉を使用する。

⒉歯磨き粉を飲み込まないようにする。

健康への影響

フッ素は歯だけでなく、
骨や甲状腺などの身体にも影響を与える物質です。

過剰な量のフッ素を摂取すると、以下のような健康への影響が懸念されます。

ⅰ.骨粗しょう症や骨軟化症などの骨格系疾患

ⅱ.甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症などの内分泌系疾患

ⅲ.腎臓障害や神経障害などの全身性疾患

これらの健康への影響は、
フッ素入り歯磨き粉や歯科医院でのフッ素塗布
では起こりにくいとされています。

しかし個人差によって敏感に反応する場合もあり注意が必要です。

まとめ

フッ素は虫歯予防に効果的な物質ですが、
適切な量と方法で摂取することが大切です。

自分に合った方法で
フッ素を取り入れることで、
虫歯予防に努めましょう。