みなさんは学校で歯科健診を受けた思い出はありますか?
順番に並んで大きなお口を開け、Cとかマルとか1とか数字や記号を学校歯科医が言っている、そんな思い出でしょうか。
学校歯科医はみなさんの園や学校で歯科健康診断をすることを知っていると思います。その他にも仕事があるのを知っていますか?
今回は学校歯科医の役割についてお話します。
目次
◯校歯科医とは?歯医者とどう違うの?
◯学校歯科医の活動とは
◆歯科保健管理
◆歯科保健教育
◆組織活動
◯学校歯科保健の役割
◯かかりつけ歯科医との違い
◯まとめ
学校歯科医とは?歯医者とどう違うの?
学校歯科医は、歯科医師でもあり、学校歯科医でもあるという二つの肩書を持ちます。
学校歯科医の職務を簡単に説明すると、学校にて歯に関する健康診断や指導などを行う歯科医師になります。歯科医師との違いとして、学校歯科医は医療者という立場だけでなく、教育者としての一面を持ち合わせているのが大きな特徴になります。
学校歯科医の活動とは
学校歯科医は子どもたちの歯の健康を維持、向上させるために、予防、検診、治療、啓発などの活動を行っています。
以下がその主な役割です。
歯科保健管理
学校の健康診断は、みなさんが健康か、健康に問題があるか、病気や異常の疑いがあるかを選び出すためのものです。
具体的にはお口の中にむし歯や歯ぐきの炎症がないか?歯並びやかみ合わせに異常がないかどうか?というものを見るためのものです。
学校歯科医は、定期的に、または臨時に学校で行われる歯科検診を担当し、生徒の口の中の健康状態を評価します。そして処置が必要な人はもちろん、しっかりと歯みがきをしなくてはいけない人や食事の摂り方などの指導が必要な人たちを見分けるために行っています。
問題が見つかった場合は、健康診断時に個別で指導を行い、それらの予防や治療が必要な者にはかかりつけ歯科医にかかるよう指示をします。
また、初期のむし歯や歯肉炎などがある人に対し、継続的な観察や指導を行っています。
さらに、歯・口の健康相談や、保健指導を行うことで口腔衛生の重要性を伝えています。
歯科保健教育
歯科保健に関する事柄について、学習や保健指導など、また学校行事や特別活動の指導に必要な教材や資料の提供及び助言を行っています。
例えば、学級担任、養護教諭とともに歯・口を教材とした学習指導案を作成し、どうしたらむし歯や歯肉炎にならないか、歯みがきの仕方、食生活などの授業を行うことで指導します。
これにより、学校での授業やイベントを通じて、歯の健康に関する知識を広めることに貢献しています。
組織活動
学校歯科医は、生徒の歯科健康に関する情報を保護者や教員と共有し、連携することで家庭や学校での継続的なケアを支援します。
なぜなら、子どもの歯・口の健康に対する望ましい態度と習慣は、ご家庭や周りの環境の影響が大きいからです。
具体的には、以下のようなものがあります。
①「学校保健安全計画」を立てるとき、歯科保健の部分についてはもちろん、より広い立場から学校保健全般について意見を述べる。
②学校保健委員会・地域学校保健委員会へ参加し、学校・家庭地域の人々と子どもの 歯・口の健康づくり推進や、健康に関する課題について意見を述べる。
③学校保健関係者(教職員、学校医、学校薬剤師)とのコミュニケーションを図り、 子どもの健康づくりを推進するための協力体制を築く。
学校歯科保健の役割
学校歯科保健は、歯・口の中を通して「心身ともに健康な国民の育成を期する」活動です。
歯・口の状態は、子どもたちの生活習慣の状況を反映します。
歯科健診では実際にお口の中が見られるため、一人ひとりの歯や生活習慣の状態にあったみがき方や食物の食べ方、つまり自分で自分の健康を管理する教育がされます。
そのため、子ども達は歯科検診を通して「自分で自分を管理する能力」を育てるために重要な役割を果たしています。
つまり、歯科検診は病気を見つけるためのスクリーニングではなく、健康になるためのスクリーニングである必要があると言われています。学校歯科保健の中で学校歯科医は、医療者としての立場だけでなく、教育者としての立場の視点を持っている必要があるのです。
かかりつけ歯科医との違い
学校歯科医が行った健康診断の後に必要な治療や指導を事後措置といいます。
必要な治療や生活習慣の改善や歯みがき法の指導などの医療的な事後措置は地域のかかりつけ歯科医が行います。
学校歯科医が児童のお口の中の状態を分類し、教育的な指導を行うとともに、かかりつけ歯科医がその分類に応じた処置や指導を行います。つまり、役割を分担しているのです。
そうすることで、子ども達の健康の保持増進に繋がります。
まとめ
学校歯科健康診断は、むし歯や歯肉炎などの病気をスクリーニングするためだけの検診ではなく、より健康を増進させて行くための健康教育が重要視される方向に進んでいます。
学校歯科医は歯科健診を行ってかかりつけ歯科医に行くよう促しているだけでなく、生徒たちが自分で自分の健康を守れるための教育者としての役割を果たしています。