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2022.8.10 むし歯って何?

こんにちは

むし歯は最も身近な歯の病気のひとつです。

小さなお子さんが読む絵本でも取り上げられるほどです。

今回は、むし歯の原因や起こりやすいところ、予防法など、むし歯にならないようにするために、知っておいていただきたい、むし歯の知識を解説します。

この記事を読むことで、むし歯という病気が理解でき、どうして起こるのか?どうすれば防げるのか?という疑問や悩みが解決されると思います。

むし歯ってなに?

むし歯は、ストレプトコッカス・ミュータンスに代表される細菌、いわゆるむし歯菌が作り出した酸によって歯の表面が溶かされて穴が開く病気です。

昔は、”目に見えないほどの小さな虫が歯を食べる”ために起こると考えられていたようで、むし歯という名前の起源もここにあるそうです。

むし歯の原因

先ほど、むし歯はむし歯菌が作り出した酸によって歯が溶かされる病気とご紹介しました。

むし歯の原因は、まさにむし歯菌なのですが、実はむし歯菌が悪さをするだけではむし歯は発生しません。

むし歯が発生するには、

①むし歯菌

②糖

③歯

の少なくとも3つの条件が整わなくてはなりません。

すなわち、食べ物に含まれる糖質をむし歯菌が食べて酸を作り出し、歯からカルシウムやリンが溶け出して穴が開くというわけです。

もし、糖質がなければむし歯菌は酸を作り出せませんし、歯が酸に溶かされにくい強い歯だったりすると歯が酸で溶かされないので穴が開かないというわけです。

むし歯の進行の仕方

①むし歯菌が糖質を食べる

②むし歯菌が酸を作り出す

③酸によって歯の表面からカルシウムやリンが溶け出す

④歯に穴が開く=むし歯になる

むし歯が発生するには3つの条件が必要であることを先ほど説明しました。

むし歯の進行の仕方を見てもらうと、3つの条件のうち、どれかひとつでもなくなるとむし歯はできないことがわかりますね。

むし歯と歯の痛みの関係

むし歯ができると歯が痛くなるというイメージがありますよね。

これは間違いではないのですが、必ず痛みが出るというものでもありません。

初期むし歯

むし歯というと、黒い、もしくは焦茶色の穴と思われがちですが、実は初期段階ではそのような変化は見られません。

むし歯の初期は、穴は見られず、歯の表面が濃い白色に変わるだけです。

この白い部分が脱灰といい、まさにカルシウムやリンが溶け出している状態です。

初期むし歯では、痛みは感じません。

ただし、初期むし歯が歯磨きをきちんとして、間食を控えていると、唾液の働きで自然に治ることが期待できますので、削って直す必要はありません。

エナメル質に穴を開けたむし歯

初期むし歯が自然治癒せず、さらに進行すると、エナメル質に穴が開きます。

穴は浅く、それほど黒くなっているわけではありません。

この段階でも、歯はほとんど痛みません。

象牙質に進んだむし歯

象牙質というエナメル質の下の層に虫歯が進むと、その穴は確実に黒くなっています。

象牙質にまで虫歯が進むと、冷たいものがしみたり、食べ物を噛んだときに痛みを感じたりするようになります。

神経まで及んだむし歯

歯の神経まで虫歯が進むと、かなり強い痛みを感じるようになります。

冷たいものだけでなく、熱いものにも痛みを感じるようになるだけでなく、ズキズキ痛んで食べたり飲んだりするのにも困るようになります。

歯の頭がほとんどなくなったむし歯

歯の頭がほとんどなくなるまで進んだら、もう痛みを感じることはありません。

その代わり、歯が浮いた感じがしたり、食べ物を噛んだときにずきんとした痛みを感じたりすることがあります。

ここまでくると、抜歯するほかありません。

むし歯ができやすいところ

実は、大人と子どもでむし歯のできやすいところには違いがあります。

大人のむし歯

大人になると、子どもの頃よりむし歯になりにくくなります。

ですが、全くならないというわけではありません。

大人の虫歯は、被せ物や詰め物の縁や、歯の付け根付近にできやすいです。

被せ物や詰め物の縁の虫歯は、二次う蝕といい、簡単にいうと再発したむし歯です。

人工材料で隠されているので見つかりにくいのが困ったところです。

歯の付け根付近に生じる虫歯は、歯肉が下がって本来隠れていた歯根が露出し、そこに生じた虫歯です。

どちらも、痛みを感じにくいのが特徴で、ある程度大きくなるまで気がつきにくいという傾向があります。

子どものむし歯

子どもさんでむし歯ができやすいところは、前歯の歯と歯の間や、奥歯の噛み合わせ面、そして奥歯の歯と歯の間です。

特に注意が必要なのは、生えて間もない若い歯です。

乳歯も、永久歯も、生えて間もない時期は虫歯菌の作り出す酸にとても弱く、虫歯になりやすい傾向があります。

子どもさんの歯の生え変わりは15歳前後まで続きますから、高校生くらいまでは虫歯になりやすい時期と思って、注意してください。

むし歯の予防の仕方

むし歯は予防できる病気です。

予防といっても、インフルエンザのように予防注射をするわけではありません。

フッ素

フッ素には、”むし歯菌の活動を抑える””むし歯菌の出す酸に溶かされにくい強い歯にする””むし歯に溶かされた歯を治す”という3つの効果があります。

これら3つの効果でむし歯になりにくくします。

そんなフッ素の使い方は、

①フッ素入り歯磨き粉で歯を磨く

②フッ素入り洗口液でうがいする

③歯科医院でフッ素を塗ってもらう

の3通りあります。

それぞれ優れた方法なので、どれもおすすめです。

歯磨き

むし歯菌は、食べ物に含まれる糖質を食べて酸を作り出します。

そこで、食事の後歯を磨くことで、虫歯菌の栄養源を断つのも虫歯予防に欠かせません。

また、むし歯菌が潜んでいるプラークも歯磨きで取り除くと、むし歯菌自体をかなり減らすことができます。

歯ブラシで歯の表面を磨くだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスで歯と歯の間まできれいにすることが大切です。

特に、寝ている間は唾液の量が減って虫歯のリスクが高まりますので、寝る前の歯磨きも忘れないようにしましょう。

食生活の見直し

食事をすると、むし歯菌が酸を作りだし、お口の環境がpHが酸性に傾いてしまいます。

酸性に傾いても、唾液の働きで中和され、歯は守られます。

問題は、酸はすぐには中和されないということ。

中和されるにはしばらく時間がかかります。

朝食・昼食・夕食のほか、何度も間食を繰り返すと、その度に中和されかかったお口のpHがすぐに酸性に戻ってしまい、歯がずっと溶かされ続けることになります。

もし、間食の多い食習慣、もしくは長い時間をかけてダラダラと食べるような食生活の方は、これを見直すのも虫歯予防に効果的です。

まとめ

今回は、むし歯についてお話ししました。

この記事を読んでいただけたら、次のようなことが理解できたのではないでしょうか。

①虫歯は、むし歯菌が作り出す酸によって歯が溶かされて生じる病気

②むし歯菌だけでなく、食べ物や歯など3つの条件が揃って虫歯はできる

③必ず痛むわけではない

④大人と子どものむし歯には違いがある

⑤予防には、歯磨きやフッ素、食生活の見直しが大切

当院では、むし歯の治療はもちろんですが、予防にも積極的に取り組んでいます。

「痛みはないけれど虫歯かもしれない」「歯の感じがなんかおかしい」と歯に関して不安のある方は、当院でぜひご相談ください。