logo

blogブログ

2022.8.22 親知らずってどうしたらいい?

歯医者さんで親知らずの抜歯をすすめられた方、あるいは、特に指摘されたわけじゃないけど今生えている親知らずは抜歯した方がいいの?疑問に思ってらっしゃる方いらっしゃいませんか?

親知らずについて、「抜歯した方がいいですか?」「どうしたらいいですか?」「このまま抜かずに置いておいてもいいですか?」といった質問は歯科医院で頻繁に聞かれます。

親知らずとは、中心の前歯から数えて8番目の歯のことをいいますが、日本人の顎の大きさは欧米人に比べて小さく、真っ直ぐに生えるスペースが不足し、骨の中に埋まっていたり、あるいは斜めに倒れて半分だけ歯茎から見えていたりと、その生え方はさまざまです。

一方で、食事ができる、という咀嚼機能においては、親知らずの一つ手前の7番目までの歯がしっかりあり、上下で咬んでいれば基本的に問題がないことがほとんどです。

では奥歯までしっかり咬んでいて、食事も問題なくできているのに、なぜ親知らずの話になると抜歯する・しないの話になるのでしょうか。

そのまま放置してはいけないのでしょうか。

今回は、そんな親知らずをテーマに、上記のようなよく聞かれる質問の内容を踏まえて詳しくお話していこうと思います。

親知らずを抜歯する・しないの基準って?

上でお話したように、親知らずはその生え方は人それぞれですし、咀嚼機能に必ずしも必要な歯でもありません。
さらに、このような親知らずを抜歯する・しない、を決めるのに何か特別な一律の基準があるのか、といえばそのような基準も特にありません。

では何をもって親知らずの抜歯をした方がいい、あるいはしなくてもいいなどの判断をするのでしょうか。

歯科医師がしばしばその判断のポイントとするのは、その人にとって抜歯するメリットがどれほどあるか、逆に、抜歯しない場合のデメリットがどれほどのものか、という点です。

ではその親知らずを抜歯するメリット、デメリットとは何か、具体的に次にみていきましょう。

抜歯するメリット・デメリット

抜歯のメリット

抜歯するメリットとしてあげられるのは、親知らずの虫歯、歯周炎のリスクを取り除くことができるという点です。
親知らずは、歯冠と呼ばれる頭の部分が歯茎から全部しっかりと見えている「完全萌出」、歯茎に部分的に埋まっている「半埋伏」の2パターンがあります。

お口の環境において注意が必要なのは「半埋伏」のパターンです。
歯茎が歯に一部被さっていることで歯ブラシがあたりにくく、常にプラーク(細菌)が残りやすいため虫歯になるリスクが非常に高くなるからです。

虫歯が深く進行しても、歯茎で歯がおおわれているため、歯を削ることが難しく、虫歯治療もすぐにできません。

さらに、智歯周囲炎(ちししゅういえん)と言って、歯茎と歯のすき間の歯周ポケットと呼ばれるところからプラークが入り込み、歯肉が大きく腫れるなどの炎症を引き起こすリスクもあります。

このような虫歯や歯肉の炎症リスクは抜歯しない限り、取り除くことはできません。
予め起こりうるこういった問題が予測できるようなケースの場合は、積極的に抜歯することがお口の中の環境にとってはメリットになります。

抜歯するデメリット

親知らずについては、抜歯することによるデメリットはほぼないと言っていいかもしれません。

ただ、親知らずを抜歯をせずに残すことで、将来的に「移植歯」として使えるというメリットはあります。

ある奥歯が虫歯や歯周病などが原因で抜歯を余儀なくされた場合、その欠損部に歯を入れる方法としては通常、インプラント、ブリッジ、入れ歯といった方法をとります。

ただ、親知らずが残っている場合、その親知らずを移植して使う方法があります。
自分の歯を移植することができれば、他の歯を削ったり、負担をかけたりすることもありません。

しかしながら、ここで注意が必要なのは、将来的な移植を想定して親知らずを残すとしても、しっかりと日頃からケアが出来ていることが条件となります。
先ほど述べたように虫歯が進行してしまったり、歯茎に炎症を繰り返したりするようであれば、やはり残すのは難しいと判断せざるをえません。

残せる状態かどうかの判断がまずは必要です。

今の親知らずの状態をまずはチェック!

ここまで、親知らずの抜歯についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
顎の大きさは人それぞれ、お口の環境も千差万別で、親知らずの状況もみなさん異なります。

歯科医師が患者様に抜歯をおすすめする場合、上記のように親知らずを残すことに何らかのリスクがあると判断したと考えられますし、逆に、経過観察となった場合は、適切なオーラルケアが出来ていれば現状は問題ないと判断したといえます。

また、親知らずの抜歯を希望されたとしても、根の周りの神経の位置や囲まれている骨の状況によって神経の麻痺が生じるリスクがあり、抜歯を強くおすすめできないというケースもあります。

このように親知らずへの対応は、みなさん同じではありません。
今ご自身の親知らずについて気になっている方は、まずはご自身の親知らずがどういう状態にあるか、歯科医院でしっかりチェックしてもらいましょう。

そして、ここまでお話してきたような親知らずの抜歯のメリットやデメリットなどを是非参考にしていただき、現状と併せて最終的にどう対応するのがベストなのか、担当医と一緒に話し合っていかれるといいでしょう。