こんにちは
歯周病は、日本人の80%がかかっていると言われているほど、大人から子どもまで多くの人がかかっています。
歯周病は、初期段階では必ずしも痛みや腫れなどの自覚症状が現れず、かかっていることにすら気がつかないのでなかなか厄介な病気です。
気づかないうちに少しずつ進行しているので、歯周病の正しい知識を持って、歯周病にならないように、たとえなったとしても早いうちに治すことが大切です。
そこで今回は、歯周病について、みなさんに少しでも知っていただくために、歯の健康に役立ててもらうために解説します。
歯周病について
歯周病は、名前の通り”歯”の”周”りに起こる病気で、かつては歯槽膿漏と呼ばれていました。
”歯”の”周”とは、歯周組織を意味しています。
歯周組織は、歯肉・歯槽骨(歯を支えている骨)・セメント質(歯根の表面部分)・歯根膜(歯槽骨とセメント質をつなげている薄い靭帯のようなもの)の4つから構成されていて、いずれも歯を支えるために欠かせない組織です。
歯周病は、これら歯周組織を壊していく病気です。
歯周病の原因
どうして歯周病が発症するのでしょうか。
歯周病菌
歯周病の原因は、細菌です。
歯周病を引き起こす細菌は、歯周病菌とよばれ、数十種類あります。
特に歯周病に関係すると考えられているのが、P.g菌(フォルフィロモナス・ジンジバリス)、T.d.菌(トレポネーマ・デンティコラ)、T.f.菌(タネレラ・フォーサイセンス)の3種です。
これら3種を合わせてレッド・コンプレックスとよんでいます。
歯周病菌は内毒素という毒素を作り出します。
この毒素が歯周組織を破壊する原因となり、歯周病になります。
歯周病になりやすい方
歯周病菌がいても必ず歯周病を起こすわけではありません。
歯周病には、歯周病菌以外に歯周病を引き起こす要因があります。
①私たちの身体の条件
私たちの身体には外敵から身を守る免疫力が備わっています。
歯周病菌も外敵として免疫系による対象となっています。
免疫力がしっかりしている人は歯周病菌を抑えられるので歯周病を起こしにくいです。
ところが、体力の低下と共に免疫力が下がっている方は、歯周病になりやすくなります。
②歯やお口を取り巻く環境条件
歯磨きをあまりしない人や、歯磨きしているようで実はあまりできていないという人、タバコを吸う人など歯やお口を取り巻く環境も歯周病の発症に関係しています。
また、歯ぎしりや食いしばりなど歯に強い負荷をかけるような癖も歯周病に大きく関係しています。
歯周病菌に、これらの要因が加わると歯周病が生じると考えられています。
歯周病の症状
歯周病の症状は、歯肉炎と歯周炎に分けられます。
歯肉炎
歯周病の症状は、まず歯肉の腫れや出血として現れます。
この段階を歯肉炎と言います。
歯磨きのときの出血で気がつくという方も多いです。
歯周炎
歯肉炎の段階でコントロールできなければ、歯周病は歯槽骨に広がります。
歯槽骨に広がった状態を歯周炎と言います。
歯周炎になると、歯を中心的に支えている歯槽骨が溶かされるため、歯が支えにくくなります。
このため、歯は次第にグラグラと動き始めます。
また、”食べ物を噛もうとすると痛くて噛めない””歯肉が腫れて痛い”という症状も現れます。
歯のグラグラとした動きは、少しずつ動き幅が広がり、最後には歯が抜けてしまいます。
全身の健康にも関係する歯周病
歯周病の怖いところは、虫歯と違い歯だけに悪さをするのではなく、全身の健康にも関係している点です。
歯周組織には、血管がたくさんあり血液が巡っています。
歯周病菌の出す毒素が歯周組織から血液の流れにのって体の各所に届けられていることがわかってきました。
この結果、全身のさまざまな病気を悪くさせます。
糖尿病
歯周病は糖尿病の合併症のひとつと考えられています。
歯周病の人は血糖値のコントロールが悪くなり糖尿病が悪化します。
しかも糖尿病の人は歯周病にかかりやすい傾向があります。
このように歯周病と糖尿病は負の無限ループのようになっています。
心臓病
歯周病は心臓病や高血圧に関係の深い動脈硬化を悪化させる要素にもなっています。
しかも、歯周病菌が心臓に届くと、心臓の悪い方の中には感染性心内膜炎という心臓の病気を引き起こすことがあります。
肺炎
高齢に方に多いのですが、食べ物や飲み物を上手に飲み込めない方が誤って食べ物や飲み物を胃ではなく肺に入れてしまうことがあります。
これを誤嚥といいます。
このとき、歯周病菌も一緒に肺に入ってしまうと誤嚥性の肺炎を生じることがあります。
早産や低体重児出産
妊娠中の方が歯周病になると、歯周病菌が赤ちゃんのいる胎盤に入り込みます。
すると歯周病菌が胎盤を刺激して胎児の成長発育に悪影響を及ぼします。
この結果、早産や低体重児出産を起こしやすくなるのではないかと考えられています。
歯周病の予防法
歯だけでなく全身の健康にも関係する歯周病ですが、予防法があります。
それはプラークコントロールです。
プラークコントロールとは、歯の表面についたプラークという白いカスのようなものを取り除くことです。
歯周病菌はプラークの中に潜んでいるので、プラークコントロールが歯周病予防の基本になります。
日々の歯磨き
プラークコントロールの要とも言えるのが、日々の歯磨きです。
歯の表面についたプラークを歯ブラシで取り除くことはもちろんですが、歯と歯の間についたプラークも取り除かなくてはなりません。
歯と歯の間までは歯ブラシの毛先は届かないので、この部分は歯間ブラシやデンタルフロスを使うようにしてください。
歯間ブラシやデンタルフロスの選び方や使い方がわからないという方は、歯科医院で相談すると説明してもらえますよ。
歯科医院での歯のクリーニング
毎日の歯磨きを頑張っていてもどうしても取りきれないプラークはあるものです。
また、歯ブラシでは取れない歯石も少しずつたまってきます。
歯石は、プラークが古くなって石のように硬くなったものですが、困ったことにプラークがつく土壌となっています。
歯磨きで取りきれないプラークや歯石は、歯科医院で専用の機械を使ったクリーニングを受けるときれいに取り除いてもらえます。
まとめ
今回は、歯周病について解説させていただきました。
歯周病は歯周病菌によって引き起こされる病気です。
歯周病は、歯だけでなく糖尿病や心臓病などの全身の健康をも左右する恐ろしい病気です。
歯周病の症状は、初期段階では痛みや腫れがほとんどなくなかなか気がつきにくいものですが、歯磨きをしているときに出血するようなら歯周病の可能性がとても高いと考えられます。
もし、日々の歯磨きで出血するようなら歯科医院で一度診てもらうことをおすすめします。
当院は、歯周病の治療にも積極的に取り組んでいます。
すでに歯周病になった方だけでなく、歯周病かなと不安な方や歯周病を予防したい方なども、当院でぜひご相談ください。