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2022.9.7 フッ素の様々なメリット
8020運動により歯を長持ちさせて健康に生活するという考え方が広まってきており、歯の2大疾患であるむし歯と歯周病に対して治療はもちろんなるべく発症させないよう予防することが大切と考えられています。 その中でもむし歯予防の1つとして知られているフッ素(フッ化物)の使用は世界的に重要視されており、様々な方法で行われています。 フッ化物を使用することでむし歯にならないわけではありませんが、正しく使用することで多くのメリットがあります。 今回はフッ化物の特徴についてご紹介します。 目次 ・フッ化物の効果 ・フッ化物応用のポイント ・フッ化物の様々な使い方 ・まとめ

フッ化物の効果

歯の表面のエナメル質はハイドロキシアパタイトと呼ばれる成分でできており、その結晶構造から体の中で一番硬い組織と言われています。そんなエナメル質でもむし歯菌が作り出す酸によって溶かされてしまい、むし歯の進行により穴が開いてしまうこともあります。 フッ化物を応用することでエナメル質にフッ素が取り込まれ、フルオロアパタイトという成分に変わり、酸に対する抵抗性を高め、むし歯予防につながります。 また、表層の一部がむし歯になってしまう初期の段階では削って詰める治療よりもカルシウム等の成分を再度取り込ませる再石灰化という働きで対応することが多く、フッ化物はこの働きを手助けする役割を担っています。 この他、フッ化物にはむし歯菌の作る酸の産生を抑える働きやむし歯菌の増殖を抑える働きもあり、学術的にもしっかりとしたエビデンスが示されているむし歯予防の効果的な方法です。

フッ化物応用のポイント

フッ化物の効果を最大限に活かすために、フッ化物を使用する「時期」が重要になります。 まず、最初の時期は乳歯の時期で、乳歯は永久歯に比べエナメル質の構造が弱く、むし歯になりやすい環境となっています。そのため乳歯ではフッ素の取り込む量も多く、歯質の強化につながりやすい時期です。最初に歯が生え始めるのは大体生後5~6ヶ月後くらいですがフッ化物の応用は大体1歳6ヶ月くらいから始めていきましょう。本来であれば乾いた歯の表面にフッ化物を応用することが効果的ですが初めのうちはお口の中に綿を入れることも難しいので徐々に慣れるよう練習程度で構いません。前歯よりも奥歯がむし歯になりやすく、奥歯が生え始めるころまでにできるようになることを目指します。こうすることで、乳歯列期のむし歯予防を行いお口の健康を維持します。 次に大切な時期は「大人の歯(永久歯)が生え始める時期」です。一般的に永久歯のエナメル質は生えてくるまでは弱い構造になっており、生えた後に唾液の働きによって本来の強い構造に変わる性質(石灰化)を持っています。この生え立てにフッ化物を応用することでカルシウムや他の成分と一緒に歯に取り込まれ、フルオロアパタイトの形成を促します。永久歯は乳歯と異なり一生使う大切な歯なので、フッ化物でより強い歯を作り、歯を長持ちさせられる環境を作ることが大切です。

フッ化物の様々な使い方

フッ化物の応用には様々な方法があり、日本で行われていない方法まで存在しています。今回は日本でよく行われている方法をご紹介いたします。

フッ化物歯面塗布

一般的に歯科医院でよく行われる方法で、歯の表面にジェル状やペースト状のフッ素を綿球等で塗布します。医療従事者が行うということもあり、他の方法に比べてフッ素の濃度が高く、フッ素の取り込みをより期待できます。濃度によって1ヶ月~6ヶ月に1回の頻度で行うことが多く、歯科医師や歯科衛生士などの専門のスタッフが行うためしっかりとした効果を得られやすいですが、歯科医院で行うため歯医者が苦手なお子様には行うことが難しい場合があります。定期的に歯科医院に通うことで苦手意識を少なくし、嫌がらず怖がらない環境を整えていきましょう。

フッ化物洗口

フッ化物配合の洗口剤で約1分間うがいを行いフッ化物を応用する方法です。幼稚園や学校などの集団で行う場合や日ごろからご自宅で行うこともできるため、簡便に行うことができます。濃度によって週5回もしくは週1回行うことが望ましく、ぶくぶくうがいができる年齢(大体幼稚園生くらい)から行うことが一般的です。ご自宅でもできるため導入しやすい方法ですがフッ化物紙面塗布に比べるとフッ素の濃度が低いため習慣的に継続して行うことが大切です。

歯磨剤

市販で売られている歯磨剤のほとんどはフッ素が配合されており、また近年フッ素の予防効果および安全性が日本でも認められ、配合される濃度の上限が上がり、より効果を期待できる環境となっています。フッ素はより長い時間お口の中にとどまることでエナメル質への取り込みが促進されるため、歯磨剤の使用後はお口を1~2回ゆすぐ程度であまり何回もゆすがないようにしましょう。こうすることで、ご自宅でも簡単により多くの効果が期待できるようになります。ただし、歯磨剤の使用の注意点として、あまり多く付けすぎてしまうとお口の中がすっきりしやすくなってしまい、実際にはしっかり磨けておらず磨き残しがかえって増えてしまうおそれもあるので気を付けましょう。その場合、まず歯磨剤を少量もしくは使わずにブラッシングを行い、仕上げ磨きの際に歯磨剤を使用する等の工夫をすることも大切です。

まとめ

フッ素によるむし歯予防は様々な研究で効果的であることは分かっておりますが、「むし歯にならない」わけではありません。フッ化物を応用しているだけではむし歯予防はもちろんその効果も弱くなってしまいます。毎日のブラッシングで歯の汚れを落とし、補助的にフッ化物を応用することでその効果を最大限に活かし、お口の健康を維持していきましょう。