2023.1.14
入れ歯ができるまで
こんにちは
歯型を取らないダイレクトボンディングというコンポジットレジン(プラスチック)を詰める治療なら1日で終わります。
歯型を取る詰め物や被せ物治療でも、その多くは歯型を取ればその次の診療日には詰め物や被せ物が完成しています。
ところが、入れ歯治療はそうではありません。
入れ歯の完成までには詰め物や被せ物以上の日数がかかります。
入れ歯ができるまでには何回も歯科医院を受診し、さまざまな工程を経て完成に至るからです。
そこで今回は、入れ歯はどのようにしてできあがるのか、その製作工程を中心にお話しします。
入れ歯の製作工程
入れ歯作りには、歯科医院と歯科技工所の二人三脚で当たります。
そこで入れ歯の製作工程を、歯科医院での工程と、入れ歯を実際に作ってくれる歯科技工所での工程に分けてご説明します。
歯科医院での工程
まずは歯科医院での製作工程です。
①お口や歯の状態のチェック
まず、お口や歯の状態をチェックします。
入れ歯を支える顎の骨がしっかりしているか、部分入れ歯の場合は、クラスプという金具を支えられるほど歯がしっかりしているかなどです。
レントゲン写真を撮影したり、目で見て確認したり、指で触れて診査したりします。
虫歯治療や抜歯など歯科治療が必要な場合は、入れ歯作りに入る前に治療します。
②入れ歯の設計
お口や歯の状態をチェックしたら、どのような入れ歯にするか設計します。
入れ歯の土台となるプラスチック製の床の広さや材質、部分入れ歯ではクラスプをどの歯に配置するかなどです。
③歯型取り
入れ歯作りは、印象採得という歯型取りから始まります。
アルジネートという粘土のようなものをトレーという台に盛って歯型をとります。
一般的にトレーは金属で作られた既製品を使いますが、顎の骨格や歯肉の状態によっては、既製品ではきれいな歯型取りが難しいこともあります。
そのようなときは、個人トレーという専用のトレーを作り、歯型をとりますので、1回目の歯型取りは、個人トレーを作るための型取りになります。
歯型を取った後は、その日のうちに石膏を流し込んで、歯の模型を作ります。
特に問題がなければ、①~③までの工程を1日で終わらせることもあります。
④歯型取り(2回目)
個人トレーを使って歯型を取る場合は、2回目の歯型取りをします。
そうでない場合は、2回目の歯型取りはありません。
⑤上下の歯の位置関係のチェック
歯型をもとに技工所で作ってもらったろう堤を使って、上下の歯の位置関係や噛み合わせの高さなどをチェックします。
これを専門用語では咬合採得とよんでいます。
⑥仮歯の合い具合のチェック
歯科技工所で作ってもらった入れ歯の仮歯を、お口に入れて噛み合わせの状態、前歯の位置関係、口元にどのように見えるのかなどをチェックします。
これを試適といい、入れ歯の製作上の最終チェックとも言える段階です。
⑦お渡し
歯科技工所で完成した入れ歯が、実際にきちんと合っているのかを確認します。
噛み合わせや合い具合が良好ならば、完成した入れ歯をお渡しします。
⑧調整
歯科医院の診察室では新しい入れ歯の合い具合が良さそうに見えても、食べたり飲んだりしたときに不具合がないとも限りません。
新しい入れ歯に慣れるまで、調整を行います。
歯科技工所での工程
歯科技工所での入れ歯の製作工程をご説明します。
歯科技工所での作業には、おおむね1週間ほどの日数が必要とされることが多いです。
①ろう堤の製作
歯科医院で作った石膏の歯の模型を利用して、ろう堤というワックス(ろう)でできた土台を作ります。
出来上がったろう堤は、歯科医院に運ばれ、咬合採得に利用されます。
②咬合器への取り付け
歯科医院で上下の歯の位置関係を確認したら、歯科技工所で咬合器という顎の動きを再現する器械に石膏の歯の模型とろう堤を取り付けます。
③人工歯の取り付け
ろう堤の一部を取り除き、そこに人工歯を並べて、仮歯を作ります。
人工歯には何種類かあり、歯科医院側からの指示によって、最適なものを取り付けます。
④仕上げ
歯科医院での仮歯のチェックが終われば、仮歯は歯科技工所に戻されます。
そして、ワックスで作られていたところをレジンというプラスチック材料に置き換えて入れ歯を完成させます。
入れ歯ができるまでの日数
実際に入れ歯が出来上がるまでどれくらいの日数が必要なのか、総入れ歯と部分入れ歯に分けてご説明します。
総入れ歯
総入れ歯は、先ほどご説明した通り、4~5回程度の通院回数で出来上がりです。
それぞれの工程には、1週間程度の日数が必要です。
通院は1週間に1回程度のペースですから、総入れ歯の製作には1ヶ月くらいかかることになります。
部分入れ歯
部分入れ歯は、総入れ歯と比べると少々複雑です。
部分入れ歯はごく小さいタイプであれば、歯型取り(印象採得)と上下の歯の位置関係のチェック(咬合採得)を同時に行い、その次で完成となることもあります。
人工歯の部分が多い大きめの部分入れ歯は、歯型取り・上下の歯の位置関係のチェック・仮歯のチェック・完成と、総入れ歯とほとんど同じくらいの工程が必要です。
それぞれの工程には、総入れ歯と同じく1週間程度かかります。
部分入れ歯の通院回数は2~4回ということを考えると、出来上がるまで早ければ2週間、長くて1ヶ月程度必要ということになります。
まとめ
今回は、入れ歯ができるまでどのような工程を経ているのかを中心にお話ししました。
歯科医院も歯科技工所も、かなり多くの工程が必要であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
出来上がるまでに総入れ歯で1ヶ月程度、部分入れ歯で2週間~1ヶ月程度かかるのはこのためです。
入れ歯作りは全ての工程がとても大切です。
当院は、入れ歯の設計に始まり、入れ歯の完成まで、豊富な経験を持っています。
もちろん、入れ歯の専門知識も十分あります。
入れ歯がなかなかしっくりこない、入れ歯で噛めないなど、入れ歯作りでお悩みな方は、当院にぜひお越しください。