2023.1.14
関係なさそうで関係の深い癒合歯や永久歯先天欠如
こんにちは
あまり意識することはありませんが、歯にはさまざまな奇形があります。
代表的な歯の奇形に、癒合歯と永久歯先天欠如があります。
両者は、全く異なる歯の奇形ですが、実はある関係性が指摘されています。
全く異なる癒合歯と永久歯先天欠如にどのような関係性があるのか不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回は、癒合歯や永久歯先天欠如についてお話しします。
癒合歯について
まず、癒合歯についてご説明します。
癒合歯とは
癒合歯は、2本以上の歯がくっついて1本の歯となった歯です。
いつ、歯がくっつくのか、それは、顎の骨の中で歯が成長しているときです。
このため、癒合歯は、生えてきた段階ですでに癒合歯になっています。
なお、癒合歯を2本ではなく、1本の歯として考えると、歯の数がその分少なくなります。
癒合歯が生じやすい歯
癒合歯が最も生じやすいのは、下顎の乳歯の前歯です。
乳中切歯という真ん中の乳歯とその隣の乳側切歯、もしくは乳側切歯とその隣の乳犬歯です。
この次に生じやすいのは、上顎の乳歯の前歯です。
一方、永久歯の癒合歯はほとんどなく、乳歯の1割以下と言われています。
癒合歯の大多数が、乳歯の前歯部に生じることがわかりますね。
癒合歯の原因
今のところ、どうして癒合歯が発生するのか、原因はよくわかっていません。
遺伝性や歯の成長期での何らかの異常などの説が唱えられていますが、今後の研究が待たれます。
癒合歯の種類
一言で癒合歯といっても、くっつき方から3タイプに分けられます。
①癒合歯
歯冠部分がくっついたタイプです。
②癒着歯
歯根部分がくっついたタイプです。
③双生歯
一つの歯の歯冠部分が分かれて2つの歯に見えるタイプです。
癒合歯の治療法
癒合歯の治療は特に必要ありません。
そのままにしています。
歯磨きをしっかりしていただき、虫歯にならないようにしていただければ十分です。
永久歯先天欠如について
永久歯先天欠如についてご説明します。
永久歯先天欠如とは
永久歯先天欠如は、歯やお口の発育異常のひとつです。
永久歯は、親知らずを含めれば32本、含めなければ28本あるのが正常です。
何らかの理由により、この数よりも永久歯が少なくなっている状態を永久歯先天欠如といいます。
日本人の場合、10人に1人ほどの割合で永久歯先天欠如が認められますので、珍しいわけではないことがわかっていただけると思います。
永久歯先天欠如が起こりやすい部位
最も多いのが、親知らずです。
次いで、上顎の側切歯(前から数えて2番目の歯)、上顎と下顎の第二小臼歯(前から数えて5番目の歯)と続きます。
反対に、最も頻度が少ないのが、第一大臼歯、いわゆる6歳臼歯です。
なお、乳歯に先天欠如が発生するのは稀で、ほとんど見られません。
永久歯先天欠如の原因
今のところ、永久歯先天欠如がどうして発生するのか明確な理由は明らかになっていません。
歯の退化、遺伝、顎の骨の中で歯が成長発育している間の栄養不良など、さまざまな説が考えられています。
永久歯先天欠如の調べ方
永久歯の数が揃っているか、永久歯先天欠如を起こしていないかは、レントゲン写真を撮影するとわかります。
レントゲン写真で顎の骨の中で成長途上にある歯胚という歯の卵の数を数えるだけですからとても簡単です。。
永久歯先天欠如の治療法
乳歯を失い、永久歯先天欠如の状態のままになっていると、隣の歯が傾きながら寄ってきて歯並びが歪む、噛み合わせができなくなる、歯磨きがしにくくなるなどの影響が生じます。
したがって、何らかの処置を行い、歯並びが悪くならないようにしなければなりません。
①乳歯の利用
永久歯先天欠如の治療法に大きく影響するのが、乳歯です。
永久歯先天欠如のところの乳歯が残っているなら、生え変わるべき年齢を過ぎても、そのまま残しておくという方法です。
乳歯が残ることで、隣の歯が寄ってくることがないので、歯並びが悪くなる可能性を低くおさえられます。
レントゲン写真で永久歯先天欠如が明らかな場合は、乳歯の虫歯をしっかり予防し、できるだけ長い間残すことをおすすめします。
②部分入れ歯を作る
乳歯が抜けてしまった場合、そのままにしていると歯並びが悪化するので、何らかの処置が必要です。
子供さんの場合、顎の骨格が成長発育により年々大きくなっていきます。
大人のように歯がないからといって、ブリッジのような歯に接着するタイプの被せ物を入れると、顎骨の成長発育に悪影響を及ぼします。
部分入れ歯なら、成長発育に合わせて適宜調整できますので、成長期にある子供の場合は部分入れ歯で隣の歯が寄ってこないようにします。
同様の理由でインプラントも使えません。
③ブリッジやインプラント治療
大人の方の場合は、顎の骨格が今後大きくなることはないので、虫歯や歯周病で歯を失った場合と同じように、ブリッジやインプラント治療を行います。
④歯列矯正で隙間を閉じる
永久歯先天欠如の隣の歯を移動させて、隙間を閉じるという方法です。
この場合、上顎とかがく、左右の歯の数やバランスを保つために、反対側の永久歯を抜歯することもあります。
癒合歯と永久歯先天欠如の関係性
癒合歯と永久歯先天欠如は一見すると全く関係性がなさそうに思えます。
ところが、乳歯の癒合歯の方のうち半数弱において、癒合歯の次に生えてくるべき永久歯がないという報告があります。
乳歯の癒合歯が認められると、永久歯先天欠如が生じる可能性が高くなります。
なお、両親のどちらかに永久歯先天欠如があると、そのお子さんにも永久歯先天欠如が生じる可能性があると言われています。
まとめ
今回は、癒合歯と永久歯先天欠如についてお話ししました。
癒合歯は2本の歯がくっついて1本になる歯の奇形、永久歯先天欠如は歯の数が足りない歯の奇形です。
一見すると両者には関係性がなさそうですが、永久歯先天欠如の多くで先に生えている乳歯の癒合歯が認められています。
永久歯先天欠如があるかどうかは、レントゲン写真を撮影すれば判断できます。
乳歯の癒合歯にお気づきになっている方は、レントゲン写真でのチェックをおすすめします。
当院は、癒合歯や永久歯先天欠如などに限らず、歯の奇形など小児歯科に関する専門的知識や診療経験の豊富な歯科医院です。
癒合歯や永久歯先天欠如だけでなく、お子さんの歯に関して疑問や不安のある方は当院にぜひお越しください。
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