皆さんの歯ぐきや上顎には、ボコっとしたコブのようなものはありますか?
骨のように固く、痛みのない場合それは“骨隆起”と呼ばれるものの可能性が高いです。
小さいうちは気が付かないことも多いですが、“歯ぐきが腫れている”と歯科医院に来院される方もいらっしゃいます。
この骨隆起は、実は割と多い病気です。痛みなどがなければ、基本的には手術などの治療は必要ないことが多いです。
しかし、場合によっては外科的に除去する手術が必要な場合があります。
今回は、骨隆起とはどのようなものなのか、治療が必要な場合はどのような場合かについてご紹介します。
目次
◯骨隆起とは
◆どのようなものか
◆骨隆起のできやすい場所
◆骨隆起のできやすい人
◯骨隆起の治療が必要な場合
◆歯ぐきが傷つき痛みが出やすい
◆話しにくい・食事しにくいなどの症状がある
◆入れ歯の邪魔になる
◯骨隆起の治療方法
◯まとめ
◯骨隆起とは
◆どのようなものか
骨隆起は顎の骨が増殖してできる、口の中のこぶのような固いでっぱりです。
腫瘍や炎症などとは異なり、特に痛みなどの症状がないことが多いです。
小さく膨らんだまま大きさが変わらないこともありますが、段々大きくなる場合もあります。大きくなったものが自然と小さくなることはありません。
腫瘍のように悪さをするものではないため、特に問題がなければ治療せず経過観察となることも多いです。
◆骨隆起のできやすい場所
骨隆起のできやすい場所は3か所あります。
①上あごの上の部分
口蓋隆起と呼ばれ、図のように上あごの真ん中あたりにできます。
小さなコブが一つの場合もあれば、複数のコブがくっついたような形になっている場合もあります。
大きくなると舌の動きの邪魔になり、発音に影響が出て話しにくくなることもあります。
また、総入れ歯を作るときの邪魔になり除去が必要となることが多いです。
②歯ぐきの外側の部分
歯槽隆起と呼ばれ、歯ぐきの外側にできます。
上の歯茎にできやすいですが、上下両方できる方もいらっしゃいます。
歯ぐきが腫れている、と心配されて来院される方も多いです。
③下の歯茎の内側
下顎隆起と言われ、下の歯茎の内側にぼこぼことコブができます。
大きくなると舌が当たり、話したり食事の時に違和感を感じることもあります。
下顎隆起があると、下の入れ歯を作ったときに入れ歯が当たって痛みが出やすくなります。
◆骨隆起のできやすい人
骨隆起は30代以降にできることが多く、子どもにできることはほとんどありません。
骨隆起のできやすい人は、噛む力の強い方や歯ぎしり、食いしばりのある人です。
特に日頃から歯ぎしり、食いしばりの癖がある方は歯や顎の骨にかかる負担が大きいため、それにより顎の骨が増殖し骨隆起ができると考えられます。
また、近親者に骨隆起のある方がいると、遺伝的にできやすいこともあると考えられています。
◯骨隆起の治療が必要な場合
骨隆起は基本的には治療の必要はありません。しかし、以下のような場合は除去する手術が必要となることもあります。
◆歯ぐきが傷つき痛みが出やすい
骨隆起の部分は口の粘膜が薄く、固い食べ物を食べたときなど食べ物がこすれて傷になりやすいです。
傷や痛みを繰り返す場合は、外科的に骨隆起を除去する手術が選択される場合があります。
◆話しにくい・食事しにくいなどの症状がある
上顎にできる口蓋隆起や下顎にできる下顎隆起が大きくなると、舌の動きが制限されて話しにくくなったり、食事がしにくいなどの症状が出る場合があります。
この場合も手術が選択されます。
◆入れ歯の邪魔になる
骨隆起は入れ歯を入れるときに邪魔になることが多いです。
骨隆起に入れ歯が当たって痛みが出やすかったり、入れ歯が安定せず外れやすくなる場合があります。
この場合は入れ歯を作る前に、骨隆起の除去が必要となります。
◯骨隆起の治療方法
骨隆起を除去する手術は保険適応で行うことができます。
局所麻酔をした後に骨隆起の部分の歯ぐきを切開し、骨隆起の部分の骨を機械で削ったりノミで除去します。とがっているところにやすりをかけた後に歯ぐきを縫っておしまいです。
傷口が治るまで2~3週間程度かかります。
骨隆起は一度除去しても、時間とともにまた出てくる場合があります。
歯ぎしりや食いしばりのあるかたは、寝るときのマウスピースを使って歯への負担を減らすことが予防法の一つとなります。
◯まとめ
骨隆起は比較的多い病気で、小さいものだとご自身も気が付いていない場合も多いです。
基本的には悪さをしない病気なので経過観察となることが多いです。
しかし、大きくなると食事や発音に影響が出てしまうことがあります。
また、入れ歯を入れる際は小さな骨隆起でも入れ歯の邪魔になってしまうことも少なくありません。
遺伝的な要素もありますが、骨に強い負荷がかかることが骨隆起の原因とされています。
日頃から歯ぎしりや食いしばりに自覚がある方は、なるべく歯を話すよう意識したり、夜間はマウスピースを装着したりして、歯やあごの骨の負担を減らすことが骨隆起の予防にもつながります。