こんにちは
歯並びの悪さ、すなわち歯列不正は、単に見た目だけの問題ではありません。
歯並びが良くないと、歯やお口だけでなく、全身にさまざまな影響が生じる可能性があります。
歯並びが悪いと将来的にどのようなことが起こりうるのでしょうか。
今回は、歯並びが悪い場合に、放置していたら将来的にどのようなことが起こりうるのかについてお話しします。
◯歯列不正の害
歯並びが悪いといろいろな困ったことが起こります。
◆噛めない
歯は、きれいに並んだ状態で噛み合わせると食べ物をしっかりと噛めるような形をしています。
歯並びが悪いと、上下の歯が噛み合わせ面同士で噛み合わせられなくなります。
すなわち、歯並びが悪いと食べ物をかみにくくなるわけです。
◆見た目が悪い
矯正歯科を受診する動機で、トップに入るのがこの歯並びの見た目の悪さです。
例えば、八重歯、専門的には低位唇側犬歯と言いますが、この歯並びは日本以外の諸外国では、ドラキュラの歯、虎の歯などと呼ばれ、あまり良い印象は抱かれません。
このため、八重歯の歯は積極的に矯正して治しているのが現状です。
歯並びが悪いと、口元の見た目が悪くなり、ひいては第一印象にまで悪い影響が出ます。
◆食べ物が挟まりやすくなる
歯は形がみんな違いますが、隣り合う面に関して言えば、上から3分の1のあたりが最も出ており、この部分で隣の歯と触れ合うようになっています。
歯並びが良ければ、理想的な位置で歯と歯が触れ合い、歯と歯の間の形も整います。
歯並びが悪いと、歯と歯の間の触れ合い方も悪くなり、歯と歯の間の形が悪くなり、食べ物が挟まりやすくなります。
◆歯磨きが難しくなる
歯並びが凸凹としたり、隙間が多かったりすると、歯ブラシの毛先が均等に当たりにくくなります。
歯と歯の間が広いところでは大きな歯間ブラシ、反対に狭すぎるところはデンタルフロスというように、使う道具もたくさん使い分けなければならないのでとても大変です。
歯並びが悪いと、歯磨きにも悪影響が生じます。
◆発音が不明瞭
例えば、空隙歯列という隙間の多い歯並びですと、声を出す時に空気が漏れます。
空気が漏れると、はっきりとした声を作り出すことができなくなるので、発音が不明瞭になってしまいます。
歯並びの悪さは、発音にも影響します。
◯歯列不正を放置していると起こりうること
歯並びが悪いままでいると、将来どのようなことが起こりうるのでしょうか。
◆虫歯や歯周病
歯並びが悪いと、歯を磨いても、歯がきれいになりにくいです。
食べ物も挟まりやすいですし、歯の表面についたプラークも取り除きにくいです。
虫歯や歯周病の原因は、歯の表面のプラークの中にいる細菌たちです。
毎日の歯磨きが大切なのは、この細菌たちを取り除くためです。
ところが歯並びが悪いままにいると、プラークが取り除きにくいので、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
◆誤嚥性肺炎
誤嚥は誤って食べ物や飲み物が気管や肺に入ってしまうことをいい、誤嚥性肺炎とは、誤嚥によって引き起こされる肺炎です。
実は、高齢者の死因の中でも肺炎の割合は高く、肺炎は毎年トップに入っている恐ろしい病気です。
誤嚥性肺炎は、お口の中の汚れや細菌が肺に入り込んで起こると考えられています。
歯並びが悪いままでいると歯磨きがしにくいので、将来的に誤嚥性肺炎を起こす可能性が高くなります。
◆口臭
口臭は、生理的口臭と病的口臭の2つに分けられます。
生理的口臭は、正常な口臭なので、治療の必要はありませんが、病的口臭はそうではありません。
病的口臭のほとんどは、歯周病などの歯の病気や、お口の中の磨き残しなどの汚れが原因です。
歯並びが悪いと、歯磨きがしにくくなり、歯周病のリスクも高まります。
このため、同時に病的口臭を起こす可能性も高くなります。
◆歯科治療への影響
歯列不正の症状はさまざまです。
例えば、歯の向きが傾いている歯列不正もあります。
もし、傾いた歯の隣の歯が抜けてしまったとします。
そこで、ブリッジ治療で治そうとしても、支えとなる歯の向きが悪いと、神経をとらなければブリッジができないかもしれません。
入れ歯治療を選ぼうにも、クラスプという金具がはめられないかもしれません。
このように、歯並びが悪いままでいることは、歯科治療にも影響します。
◆胃腸の病気
上下の歯がしっかりかみ合わさっていると、食べ物を十分噛み潰して小さくすることができます。
ところが、歯並びが悪いとそうはいきません。
噛み合わせが悪くなるので、食べ物を十分に小さくすることができなくなるので、大きなままで飲み込むことになります。
すると、胃腸での消化の負担が大きくなり、将来的な胃腸の病気や不調の原因となります。
◆肩こりや頭痛など
歯並びが悪いと、上下の歯を均等にしっかりと噛み合わせることができません。
噛み合わせにくい噛み合わせでは、食べ物を噛み潰すことが難しくなるので、無意識のうちに顎の位置をずらして噛むようになります。
顎の位置のずれは、お口の周囲の筋肉のバランスのズレを引き起こし、そのズレを補正するために頭や肩など全身のバランスのズレにまで発展してしまう可能性が指摘されています。
全身のバランスのズレが生じると、頭痛や肩こり、腰痛などを引き起こすことがあります。
◆社会性への影響
先に例としてあげた八重歯に限らず、歯並びが悪いままでいると、自分自身の健康管理ができていない人とみなされ、信用度にも影響します。
グローバルに活躍しようとしている方にとっては、歯並びの悪さは、その人の社会的な信頼性にも関係するので、社会性への影響が無視できません。
◯まとめ
今回は、悪い歯並びを放置していたらどのようなことが起こりうるのかについてご説明しました。
歯並びが悪い状態のままでいると、
①虫歯や歯周病
②誤嚥性肺炎
③口臭
④歯科治療への影響
⑤胃腸の病気
⑥肩こりや頭痛など
⑦社会性への影響
などが生じる可能性があります。
こうしたことを防ぐためにも、歯並びが悪いと思ったら、早めに治すことがおすすめです。
当院は、矯正治療の専門知識や経験の豊富な歯科医院です。
歯並びで不安なことがある方は、当院でぜひご相談ください。