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2023.9.16 引かない歯肉の腫れの原因は何?

こんにちは

歯肉の腫れの原因はさまざまです。

その多くは歯周病からきた腫れですが、中には歯の根の中に原因があるケースがあります。

それを「歯内ー歯周病変」とよびます。

歯周病が原因で腫れるならわかりやすいですが、歯の根に原因があるとは一体どういうことなのでしょうか。

そして、これが実は歯内ー歯周病変の治療を難しくしています。

今回は、歯内ー歯周病変についてお話しします。

歯内ー歯周病変について

歯内ー歯周病変とはどのような病気なのでしょうか。

歯内とは?歯周とは?

歯内ー歯周病変についてご説明する間に、用語説明をさせてください。

①「歯内」

歯内とは歯の内部を指す言葉です。

根管という歯の空洞を意味することが多く、歯内病変というと、根管に生じた病気を指します。

根管に生じた病気は、神経が生きていれば歯髄炎、神経が死んでしまっていれば感染根管と分類されています。

歯内病変を考える上で、歯髄炎か感染根管かは、とても重要なポイントです。

②「歯周」

歯周は歯の周りと書きますが、歯肉、歯槽骨(歯の周りの骨)など、歯を支えている組織=歯周組織を指しています。

したがって、歯周病変は、歯周病を意味します。

歯内ー歯周病変とは

歯内ー歯周病変は、歯内病変と歯周病変が、お互いの領域にまで広がった病態です。

どうして、よその領域にまで広がってしまうのか、それはお互いがとても近い位置関係にあるからです。

このため、歯周病変が歯の根に影響したり、歯内病変が歯周組織に炎症を引き起こしたりするのです。

こうして、歯内ー歯周病変が起こります。

歯内ー歯周病変の原因

歯周病治療のガイドラインである『歯周治療の指針』では、次のように分類されています。

クラス1:歯内病変由来型

クラス2:歯周病変由来型

クラス3:歯内ー歯周病変複合型

これらは、歯内ー歯周病変の発生原因から分けたものです。

言い方を変えると、歯内ー歯周病変の原因は

⑴歯の根管

⑵歯周病

⑶歯の根管と歯周病の両方

と3パターンに分かれるわけです。

原因が複雑に分かれているところが、歯内ー歯周病変の治療を難しくしています。

歯内ー歯周病変の治療法

歯内ー歯周病変の治療法についてお話しします。

薬物治療

歯内ー歯周病変の種類に関係なく、症状が急性化して激しい場合は、まず抗菌薬を使って炎症の緩和を行います。

また、痛みについては、非ステロイド系の解熱鎮痛薬を使い、痛みのコントロールを行います。

口腔内消炎手術

歯内ー歯周病変により、歯肉が腫れて、ブヨっとした感じになっている場合は、内部に膿がたまっている可能性が高いです。

膿がたまっているなら、出した方が治りが早いので、局所麻酔の注射をしてから、切開して膿を出します。

このお口の中の膿を出す処置を口腔内消炎手術と言います。

根管治療

根管治療とは、歯の根管部分の治療です。

根管治療は、歯の根の先に原因がある歯内ー歯周病変に対して用いられます。

歯の根管内部の汚れを取り除き、内部をきれいに消毒して根管を無菌化します。

根管内部を無菌化することで、歯内ー歯周病変の原因をなくし、歯内ー歯周病変の治癒を図ります。

歯周病治療

歯周病治療は、名前の通り歯周病の治療です。

具体的には、スケーリングやルートプレーニングとよばれる歯石を取り除く治療や、PMTCという歯の表面をきれいに磨く治療です。

また、これらで効果があまり得られない場合には、歯周外科治療という外科治療が選ばれることもあります。

歯周病治療は、歯周病に原因がある歯内ー歯周病変の治療に適応があります。

根管治療と歯周病治療

歯の根の中と、歯周病の両方に原因がある歯内ー歯周病変では、根管治療と歯周病治療の両方の治療が行われます。

一般的に多いのは、根管治療を先行して行い、その後歯の根の中が落ち着いてきた頃合いに、歯周病治療を始めるというパターンです。

抜歯

根管治療や歯周病治療などを繰り返しても、経過が良くならない場合もあります。

そのようなときは、残念ですが抜歯します。

根管治療や歯周病での治癒が難しいと予想される場合は、根管治療や歯周病治療を行わず抜歯が最初から選ばれることもあります。

歯内ー歯周病変の難しい理由

歯内ー歯周病変の治療は、実は難しいです。

次にその理由についてお話しします。

原因の特定が難しい

歯内ー歯周病変の治療には原因を特定することが大切です。

ところが、歯内病変と歯周病変が組み合わさったタイプがあるほどなので、なにしろ歯内病変から起こったのか、歯周病変から起こったのかの特定が難しいのです。

原因の特定が難しいので、治療法の決定も困難になってしまうわけです。

歯の神経の健康状態の差

歯内ー歯周病変の中には、歯の神経が死んでいるタイプもあれば、反対に生きているタイプもあります。

歯の根の先に病変が生じているとき、ほとんどのケースでは歯の神経が死んでしまっています。

一方、歯周病由来の歯内ー歯周病変では神経が生きていることが多いです。

このとき、歯内病変があるかどうかの判断はとても難しく、歯周病治療だけで対応してしまうことも珍しくありません。

このように、歯の神経の健康状態に違いがあることも歯内ー歯周病変の治療を難しくしています。

根の先に病変があるとは限らない

歯内ー歯周病変の中でも、歯内病変に原因のあるタイプや複合タイプでは、歯の根の先に膿がたまります。

ところが、歯内ー歯周病変の歯周病から生じたタイプでは、これが生じないのです。

このため、単なる歯周病の腫れと思われてしまい、歯内ー歯周病変の治療が難しくなってしまいます。

まとめ

今回は、歯内ー歯周病変についてお話ししました。

歯内ー歯周病変は、歯内病変(歯の根の病気)と歯周病変(歯周病)がリンクして生じた病気です。

主原因の判断がとても難しく、それが歯内ー歯周病変の治療を難しくしています。

そこで、一般的にはまず根管治療で対応します。

根管治療で治れば、歯内病変から生じた歯内ー歯周病変と判断します。

根管治療で治らないなら、歯周病変から生じたものと判断し、歯周病治療へ移行します。

治療を受ける側からすれば、根管治療で治らない=誤診と思われてしまいそうですが、そうではなく、この流れが世界標準なのです。

当院は、歯内病変や歯周病変の専門知識に加えて、治療経験の豊富な歯科医院です。

難治性の病気である歯内ー歯周病変の治療には、的確な診断と治療が欠かせません。

歯周病の治療を繰り返しても、歯肉の腫れが引かないような場合、歯内ー歯周病変かもしれません。

そのような症状でお悩みの方は、当院にぜひお越しください。