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2024.2.8 口腔内スキャナ(IOS)って?メリットは?

歯医者で治療を受ける際に歯型を取った経験はありますか?

従来は粘土のような材料を口の中に押し付け、固まったら取り出すことで歯の型を採っていました。そしてその採れた型に石膏を流して固めることで、口の中の状態を再現した模型が出来上がります。

この型取りの作業は苦痛を伴い、型取りができないから治療ができないというケースもあります。

そのような苦痛を軽減させ、精密な治療を受ける手助けとなる口腔内スキャナ(IOS; Intraoral Scanner) を当院でも導入しました。

今日は口腔内スキャナについてお話していきます。

目次

◯歯科治療の型取りとは
 ◆一般的な型取りの材料
 ◆一般的な型取りの方法
・新しい型取りの方法「口腔内スキャナ」とは
 ◆口腔内スキャナで使う機材とは
 ◆口腔内スキャナで歯の型取りをする方法
◯口腔内スキャナのメリット
 ◆高精度なデータ
 ◆ゆがみの少ない型
 ◆快適な型取り
 ◆作業のミス減少
 ◆デジタルデータでの保存
◯口腔内スキャナがおすすめな人
◯まとめ

◯歯の型取りとは

歯の型取りをする目的は、患者さんの歯の形やどのような噛み合わせなのかを記録し、患者さんがいなくてもそれを再現するためです。

例えば歯のかぶせ物や入れ歯などを作るとき、口の中で最初から作ると時間もかかり、負担が大きくなります。また、矯正治療など今の状態から治療計画を立てたりシミュレーションを行ったりする場合にも、手元に口腔内の模型があると役立ちます。

この模型をもとに歯科医師や歯科技工士が患者さんの歯の状態を詳細に把握し、治療計画を立てたりかぶせ物や入れ歯等の製作を行います。

◆一般的な型取りの材料

一般的によく知られているのは「アルジネート」を用いた型取りです。

アルジネートの型取り材とは、藻類由来の成分から作られた粉末状の材料です。

さらに「シリコン」を用いた型取り材もよく知られています。シリコンは合成ゴムの一種であり、柔軟性や耐久性があります。

◆一般的な型取りの方法

一般的な型取りは、型取り用のトレーに水を加えて練った粘土状のアルジネートや、二つの材料を混ぜたシリコンを盛り、それを口の中に押し付け固まるまで5分程度待ちます。

型取りの材料には特有のにおいや味があるため不快感があり、口の奥の方に材料が流れたり、トレーが押し付けられることでおえっとなる嘔吐反射を起こしてしまうこともあります。

◯新しい型取りの方法「口腔内スキャナ」とは

近年では、「口腔内スキャナ」というデジタル技術を用いて歯の型取りをすることが増えています。口腔内スキャナは、口腔内の様子を小型カメラで撮影して立体画像化する装置です。

口腔内スキャナは、矯正治療、むし歯治療、インプラント治療など、さまざまな分野で用いられています。

デジタルでの型取りは、患者さんにとって今までの型取りよりも不快感が軽減されます。

◆口腔内スキャナで使う機材とは

口腔内スキャナは一般的には口の中の状態を小型カメラで撮影します。小型カメラは様々な大きさがありますが、片手で握れる棒のようなものとモニターで構成されます。

◆口腔内スキャナで歯の型取りをする方法

お口の中に小型カメラであるスキャナー部分を入れて、歯の上を滑らせるようにして連続して撮影します。

撮影した画像は接続されたモニター上で立体的に構成され、3D画像で再現されます。歯1本づつの形だけでなく、どのような噛み合わせかという情報も撮影することができます。

◯口腔内スキャナのメリット

口腔内スキャナで歯の型取りをするメリットは以下のようなものがあります。

◆高精度なデータ

口腔内スキャナーは細かい口の中の構造を小型カメラでリアルタイムに捉え、高い精度のデータを得ることができます。CT画像と併用することで、治療のシミュレーションの幅が広がるようになります。

モニター上で拡大したり角度を変えてみたりすることができ、詳細に観察することができるため、直接口腔内を見るだけでは見つけにくいむし歯や、噛み合わせによる磨り減り、歯石などを見つけやすくなる場合もあります。

◆ゆがみの少ない型

従来の粘土のような型取りは、型の取り外しや、乾燥などにより、模型がひずんだり変形する可能性があります。しかし、口腔内スキャナによる型取りはリアルタイムでデータを取得するためゆがみが生じにくいです。これにより、作る装置の精度の向上も期待できます。

◆快適な型取り

口腔内スキャナーの場合は型取りのための粘土のような材料を口に入れる必要がなく、コンパクトな口腔内スキャナを歯の上を滑らせるのみで型をとることができます。そのため従来の型取りに比べて患者さんに苦痛がありません。

今までは型取りのために15分ほど時間がかかっていましたが、口腔内スキャナーを使用することで、5分ほどで終わるようになります。

◆作業の失敗の減少

これまでの方法では、型取りの材料や石膏の使用といった作業を人が行っていました。そのため、材料を間違えたり、割れてしまったりとどうしても失敗が起こる心配があります。

しかし、口腔内スキャナーを使用する場合はそのような作業がないので、失敗が起こる心配はありません。

◆デジタルデータでの保存

口腔内スキャナーにより得られたデータはデジタル形式で保存されるため、データのバックアップや効率的な管理が可能となり、石膏模型のような保管場所は必要ありません。

さらに、デジタルデータなのでリアルタイムで共有することができます。石膏模型は宅配便で送ることもありますが、データは配送の必要がないのでかぶせ物などの装着物などの出来上がり期間が短縮する可能性があります。

◯口腔内スキャナがおすすめな人

さまざまなメリットのある口腔内スキャナですが、保険の適応範囲外となる場合があります。

しかし、今まで歯の型取りが苦手でできなかった方や、高精度で迅速な型取りを希望する場合は選択肢として考えても良いかもしれません。

◯まとめ

歯医者で治療を受ける場合、型取りをする場面があるかもしれません。今回紹介したレーザーの光を使った型取りは、光学印象とも呼ばれます。矯正治療、インプラント治療、むし歯治療など、さまざまな治療で使える型取りの方法です。

口腔内スキャナの導入率はまだ低く、聞きなれない特殊な機器のように感じるかもしれませんが、有用な方法です。当院でも口腔内スキャナを導入しましたので、お気軽にご相談ください。