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2024.5.28 歯周病予防で糖尿病も予防!

糖尿病と歯周病、どちらも日本人にとても多い病気です。

厚生労働省の調査では、糖尿病の疑いがある方の割合は男性19.7%、女性10.8%であり、 年齢別にみると50~60代以上で増加傾向がみられます。


一方で歯周病も30代の3人に2人が罹患しており、45歳以上の日本人の半数以上の方が歯周病と言われています。歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位なのです。

糖尿病と歯周病、全く別の病気に思えますが実は大きく関係しているということを聞いたことはあるでしょうか?

実は糖尿病の患者さんが歯周病にかかるリスクは、そうでない方と比べるとなんと2倍以上!そして歯周病が悪化すると、血糖値も悪化することがわかっています。

歯科医院で歯周病治療を行うことは、糖尿病の予防や治療にもつながります。
今回は、糖尿病と歯周病とはどのような病気なのか。それぞれの関係についてお伝えします!

目次

◯糖尿病とはどのような病気か
◯歯周病とはどのような病気か
◯糖尿病が歯周病に及ぼす影響
◯歯周病が糖尿病に及ぼす影響
◯歯周病予防のために大切なこと
 ◆日々のセルフケア
 ◆クリニックでのプロフェッショナルケア
 ◆できれば禁煙を!
◯まとめ

糖尿病とはどのような病気か

糖は私たちの身体が働くためのエネルギー源です。血液中の糖は膵臓から出るホルモンのインスリンの働きにより一定に保たれています。このインスリンが十分に働かず、血液中の糖(血糖)が増えてしまう病気が糖尿病です。

血糖の濃度が高いまま放置されると、血管が傷つき全身に様々な影響が出ます。糖尿病に特有の合併症として、失明につながる糖尿病性網膜症、神経の障害である糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症が知られています。また糖尿病は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを上げるなど様々な病気に関連します。

歯周病とはどのような病気か

口の中には様々な種類の細菌がいて、その中には歯周病の原因となる歯周病原細菌と呼ばれる細菌がいます。

細菌の中には、糖を原料にネバネバとした物質を作るものがいます。歯磨きが不十分だと、このネバネバに細菌がくっつき塊となり歯垢(プラーク)を形成します。プラークを放っておくと段々量が増えていき、よりネバネバして取り除きにくいものになっていきます。

この増えたプラーク中の細菌が歯周ポケットの中に侵入し、歯ぐきを攻撃します。体が細菌を倒そうとすることで炎症が起こり、初期の歯周病が始まります。

この状態であれば、しっかりと歯磨きでプラークを取り除くことで歯ぐきは元の状態に戻ります。
しかし歯ぐきが腫れた状態が進行していくと炎症が歯ぐきだけでなく、歯を支える骨にまで広がり骨が溶けていきます。

この状態が進むことで歯を支える骨が溶けて歯がぐらぐらしたり、最終的には歯が抜けてしまうこともある。これが歯周病です。

糖尿病が歯周病に及ぼす影響

糖尿病の方はそうでない人と比べて2倍かかりやすくなると言われています。
糖尿病の方は唾液の分泌量が低下し、唾液中の糖分の濃度が上昇することからプラークの付着や細菌の増殖が起こりやすくなり、歯周病が進行します。

また糖尿病になると、細菌に対する抵抗力が低下します。血液の循環も悪くなり、血管が脆くなることから炎症を起こした歯肉が治りにくくなります。

このため歯周病の治療を行っても効果が出にくく、重症化していきます。血糖のコントロールが悪いほど、歯周病も重症化しやすいことがわかっています。

歯周病が糖尿病に及ぼす影響

歯周病は歯周病源細菌による感染症で、歯周病の方は身体の中に慢性的な炎症がある状態です。
プラーク中の歯周ポケットの中にいる歯周病源細菌は炎症を起こした歯ぐきから血管内に入り、全身を回ります。この細菌を攻撃するために、体内でも炎症性の物質が常に産生されます。歯周病源細菌が持っている毒素がインスリンの働きを邪魔する物質の生成を推し進め、血糖値が下がりにくくなり血糖管理の悪化を導くことがわかっています。

糖尿病の患者さんに歯周病治療を行うと、インスリン抵抗性が低下し、HbA1cの改善や炎症の指標となる数値の低下がみられると報告されています。

歯周病予防のために大切なこと

歯周病は口腔内の細菌の塊であるプラークが原因で起こります。
歯周病予防のためにはこのプラークをしっかりと取り除き、炎症が広がって歯周病が進行しないうちに食い止めることが大切です。

日々のセルフケア

歯周病予防に最も大切なことは日々のセルフケアです。皆さんは毎日の歯磨きにどのくらい時間をかけていますか?
定期的にクリニックでお口の中をきれいにしても、それ以外の日のセルフケアが不十分でプラークがたまっていると歯周病は進行してしまいます。ご自身に合う歯ブラシや歯間ブラシ・フロスなどの補助器具の使い方をしっかり学び、毎日丁寧に歯磨きを行うことが大切です。
歯磨きの仕方を習ったことがない、という方は是非一度歯科医院でご相談くださいね。

クリニックでのプロフェッショナルケア

毎日どんなに歯磨きを頑張っていても、どうしても磨き残しが起こりやすいところがあります。また、一度硬い歯石になってしまったものは歯磨きでは取り除けません。このため定期的に歯科医院でのプロフェッショナルケアで、隅々までプラークを取り除きお口をきれいにすることで、健康な口腔内環境を保ちやすくなります。

できれば禁煙を!

タバコには血管を収縮させる作用があり、歯ぐきの血流を悪くします。
このため喫煙する方は、歯周病が進行しやすく、治療しても治りにくくなるのです。
タバコは歯周病以外の様々な病気にも悪影響を及ぼします。歯周病予防には禁煙が一番です!

まとめ

歯周病も糖尿病もとても身近で罹患者数の多い病気です。全く別の病気のように思えますが、実は深く関係しておりそれぞれの病気の悪化はお互いに悪影響を及ぼします。
歯周病はその他にも様々な全身疾患と関連することが知られています。


私たちはお口から食べ物を食べることでエネルギーを得て、生活しています。健康なお口で美味しく食事がとれるということは健康で長生きするために欠かせないことです。

歯周病は初期のうちは症状が出にくく、気が付いていない方も多いです。歯周病予防に最も大切なことは日々のセルフケアです。また、定期的な検診でお口の中の状態をチェックすることも大切です。
症状がなくても、是非定期的に歯科医院を受診しましょう!