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2024.7.14 睡眠時無呼吸症候群と歯科医院の役割

あなたは夜寝ている間にいびきをかいていると誰かに指摘されたことはありませんか?いびきをかくのは何らかの原因で気道が狭くなることにより、低呼吸になってしまっている状態なのです。

さらに気道が狭くなると呼吸が止まってしまう、いわゆる睡眠時無呼吸症候群という睡眠障害を引き起こします。睡眠時無呼吸症候群の治療にはさまざまありますが、その中でも歯科的な治療が大きく有効になります。

今回は睡眠時無呼吸症候群と歯科医院の役割について説明していきます。

目次

◯睡眠時無呼吸症候群とは?
 ◆原因
 ◆症状
 ◆診断方法
 ◆治療法
◯歯科医院での治療
 ◆口腔内装置
 ◆矯正治療
 ◆外科手術
◯まとめ

睡眠時無呼吸症候群とは?

◆原因

肥満や顎が小さい人、舌の根元が落ち込む舌根沈下、飲酒、睡眠薬の使用などによって寝ている間に気道が狭くなることが考えられます。また鼻炎などによって鼻づまりがある方も無呼吸になりやすいと言われています。子どもの場合はアデノイド、扁桃が大きくて無呼吸になることがあります。脳卒中や心機能低下が原因で起こることもあります。

◆症状

睡眠中に何度も息が止まると睡眠の質が悪くなり、日中に眠くなったり、からだが怠く感じたりします。重症化すると社会生活に影響を及ぼすこともあります。また、呼吸が止まることによって血液中に酸素が取り込まれなくなってしまいます。それにより心臓、脳、血管に負担がかかり、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などを発症する危険が高まります。そのほか糖尿病、高血圧症などさまざまな生活習慣病や、自律神経失調症、うつなど精神疾患にも関連していると言われています。

睡眠時無呼吸症候群の人には共通して以下の症状が現れることが多いです。
「周囲からいびきを指摘される」
「夜寝ている間に息苦しくなって何度も目覚める」
「朝起きた時に頭痛や体のだるさを感じる」
「日中に眠くて辛い」
これらが当てはまる人は要注意です。

◆診断方法

まず、日中の眠気がどのくらいかをはかるために​​​​ESS(エプワース眠気尺度)を用いて問診を行います。
睡眠障害がどの程度なのかを診断するためには、簡易検査(アプノモニター)と脳波を含めた精密検査(ポリソムノグラフィー)を行います。簡易検査でも診断できますが、精密検査を行うことでより正確な診断ができます。精密検査を行うためには入院が必要になります。
口の中のチェックも行います。喉の奥や顎の形の異常が原因の場合もあります。合わせてレントゲン写真を取ることもあります。
さまざまな検査をおこない、寝ている間にどのくらい呼吸をしていないかを表す無呼吸低呼吸指数という数値で重症度をはかります。

◆治療法

最も効果的な治療法は​​経鼻的気道持続陽圧療法、いわゆるCPAPと言われるものです。鼻にマスクをつけ、専用の機械で圧力をかけて空気を送り込む治療法です。診断により無呼吸低呼吸指数が一定以上であった場合はCPAP療法を行うのが良いでしょう。
しかし、CPAPでは逆に寝づらくなってしまう人には難しいかもしれません。また、顎の形や喉の奥の形態的な異常が原因の人は根本的な治療にはなりません。そのような場合に、歯科医院による治療が有効になってきます。

歯科医院での治療

◆口腔内装置

口腔内装置とは、マウスピースの一種で寝ている間の顎の位置を変える、または舌を前に引っ張ることで、睡眠時無呼吸症候群の原因となる喉の形を呼吸がしやすいように変えるという働きがあります。これによって寝ている間に息がしやすくなったり、いびきが少なくなったりします。
口腔内装置には、上下の歯が固定されるタイプや、上の歯だけに装着するタイプなど、さまざまな種類があります。患者さんによってそれぞれ使い分けていきます。

◆矯正治療

大人で下の顎が小さいためにいびきをかいてしまうという場合は矯正治療で改善することがあります。のどの筋肉のストレッチ、正しい舌の位置と鼻呼吸がきちんとできるようになれば、矯正治療で下の顎を前に移動させた噛み合わせにすることで気道が広がるため、いびきが改善するようになります。さらに歯並びや、上の顎と下の顎の位置が正しくなるので、見た目も改善されます。

◆外科手術

患者さんの中には、矯正治療では治らないくらいの顎の形の人もいます。そのような場合は骨切りという外科手術をおこない、顎を切って移動させ、物理的に顎の形を整えます。

まとめ

いかがでしたか。いくつか治療法を紹介しましたが、歯科医院で作成する口腔内装置は他の治療に比べて痛みや苦しさも少なく、入院による検査も必要ありませんので比較的手軽にしていただける治療になります。睡眠時無呼吸症候群の診断がつかなくとも、日常的にいびきを指摘されたり、自分で気になる方は一度歯科医院で相談してみましょう。また、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病や循環器の病気など、さまざまな全身疾患と関わっています。医科と歯科が連携して、全身的に治療していくことが必要となります。