2022.12.14
口腔がん、早期発見のために
口腔がん、早期発見のために
口腔がんについては、近年有名な芸能人の方が舌がんを患ったことを公表されたこともあり、多くのみなさんに認知されるようになりました。
口腔内のトラブルや異常というと、最初に思いつくのは虫歯など歯に関することだと思いますが、「口腔」には歯だけではなく口蓋、舌、粘膜、口唇なども含まれます。
口腔がんは発生頻度は異なりますが、これらの部位のいずれにも発生する可能性があります。
さらに、口腔がんの特徴として、
・ガン全体に占める口腔がんの割合は約4%
・男女比は3:2、40歳から増え始め、60歳以上が多い
・口腔がんの中で約半数が舌がん、次いで歯肉がんが占める
が挙げられます。
ガン全体に占める口腔がんの割合は少ないと言えますが、患者数は近年増加傾向にあるのが現状です。
また、他のガンと同様、口腔がんにおいても早期発見が重要とされます。
早期であれば口腔機能も温存できる可能性が高く、これまでの日常生活を維持できます。
しかし、進行した口腔がんの場合、治療後の口腔機能の低下で食生活に支障をきたし、これまで通りの日常生活を送ることが難しくなることがあります。
今回は、このような口腔がんについて、その特徴をもう少し掘り下げるとともに、その予防等について、みなさんに是非知っていただきたい内容をまとめました。
口腔がんの初期症状の特徴や原因は?
実際に口腔がんが発生した場合、一体どのような初期症状が現れるのでしょうか。
また、口腔がんを引き起こす原因、リスク要因についてもお話していきます。
目立った初期症状はない?
実は、口腔がんにおいては、初期症状にはほぼ痛みや出血などがなく、小さな潰瘍が見られるなどで、とりわけ目立った症状がない、というのが特徴です。
この小さな潰瘍も口内炎と見間違いやすく、なかなか専門家以外の患者様には見分けがつきにくい、というところが厄介な点でもあります。
ただ、口内炎であれば一週間前後で治ってきますが、口腔がんの場合は、
・痛みが強くなる
・出血しやすい
・白から赤くなってきた
・なかなか治らない
・(舌に)硬いシコリが感じられる、動かしにくい
などの症状が生じてきます。
明らかに口内炎と異なる異常がある場合は、すぐに精査する必要があります。
口腔がんの原因、リスク要因とは
口腔がんの原因、リスク要因となるものには、以下のものがあげられます。
・喫煙
・飲酒
・口腔内環境の不衛生
・虫歯による歯の欠け、合わない義歯の粘膜や舌への慢性的な接触、刺激
特に、喫煙については、非喫煙者に比べて口腔がんの発生率が約7倍ほど高くなり、死亡率も約4倍になると言われています。
喫煙、飲酒については口腔がんに限らず、全身的な健康にも関わる大きなリスクファクターと言われており、注意が必要です。
口腔がんの治療方法は?
全身のがんの治療と同様、手術、放射線、化学療法の選択肢が挙げられ、単独で行うか、組み合わせて行うか、という流れになります。
がんの病気については、進行度を表すステージがあり、それによっても治療方法が変わってきます。
外科治療
第一選択となる治療法です。まだ早期であれば、切除範囲も小さく、生活に支障が出ることはほぼありません。
ただ、進行している場合、切除域は大きくなり、切除した所に、体の他の部位から皮弁を移植する手術等が検討されることもあります。
こういったケースではやはり舌、口唇の動きが制約されるため、口腔機能の回復のためのリハビリが必要になります。
放射線治療
放射線を利用した治療です。副作用として、口内炎、口腔乾燥が主に上げられ、放射線の影響で顎骨が壊死するリスクがある、といったものがあります。
こういった副作用はゼロにすることはできませんが、少しでも口腔内に与える副作用の影響を軽減させるために、歯科衛生士による専門的口腔ケアが治療計画に積極的に組み込まれます。
化学療法
口腔がんで化学療法、いわゆる抗がん剤治療が用いられるのは、一般的には、全身的に転移が認められるケースです。
化学療法における副作用は、放射線治療と同様の症状が見られ、免疫が落ちることも大きな特徴です。
放射線治療と同様、少しでも生活の質を保つことができるようなケアが必要となります。
口腔がんは予防できる?
ここまで口腔がんについて、症状、原因、治療についてお話してきましたが、では口腔がんを予防するにはどうしたらよいのでしょうか。
予防方法としては、上記でお話した「口腔がんのリスク要因を少しでも減らす」ことがあげられます。
・喫煙、飲酒を控える
いずれも生活習慣とも結びついており、その生活習慣を変えていく必要があります。
・義歯や虫歯の治療
合わない義歯を使い続けている、虫歯になった、あるいは被せものがとれて歯が尖ったり角張っていたりしている状態の方は、まずは歯科医院で治療を受ける必要があります。
義歯や虫歯で欠けた歯が粘膜や舌を慢性的に刺激することになり、そのまま放置していることで口腔がんのリスクが高まるからです。
・口腔内のセルフケアの習得
特に、歯周病と呼ばれる歯を支える組織の炎症が起こっていると、その歯周病菌がガンの発症リスクを高めてしまうと言われています。
こういった意味から、口腔内を常に清潔に保つことが重要です。
口腔がんの早期発見のために大切なこと
口腔がんの予防について、また口腔がんがどういった病気なのかについてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
口腔がんの特徴として、「初期症状に目立った特徴がない」というのを上でもお伝えしました。
異常に気づかないケースもあれば、多少お口の中に異常があったとしても、痛みがなく食事を取ることができ、日常生活に何も支障がない場合、どうしてもその異常を放置したままになってしまいがちです。
そして、痛みや出血が症状として現れ、気づいた頃には進行していたということもあります。
こういったことからも、口腔内に異常がないかどうかはやはり定期的に歯科医院で診てもらうことが大切です。
今回の記事を是非参考にしていただき、ご自身でも日頃からお口の中にいつもと変わったことがないかを確認しておきましょう。
そして、もし、いつもと何か違う異変を感じた場合は、そのままにせず、必ずかかりつけ医に診てもらうようにしましょう。
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