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2022.12.14 その知覚過敏、放置は危険かも!?

その知覚過敏、放置は危険かも!?

お口の中で起きるトラブルの一つに知覚過敏があります。 症状としては、冷たいものを食べたときや、ブラッシング中の歯ブラシの毛先があたったとき、また息を吸って空気に触れたときなど、何らかの一時的な刺激によって歯に感じる一過性の痛みがあげられます。 虫歯ではないということと、上記のように日常生活の中でほんの一瞬の限定的なシーンで生じるものということもあり、知覚過敏をそのままにしている方も多くいらっしゃるかもしれません。 しかし、知覚過敏症状にはそれが起きる何らかの原因があり、そのまま放置しておくことはおすすめできません。 今回は、知覚過敏が起こるメカニズム、原因や治療、知っておいていただきたい知識についてご紹介していきます。

知覚過敏のメカニズム

知覚過敏症状のメカニズムは、外部からの刺激が、口腔内に露出した歯の「象牙質」という組織に加わると、象牙質を構成する「象牙細管」という管を通じて歯の歯髄(神経)に伝わり、一過性の鋭い痛みを生じるというものです。 象牙質はエナメル質の内側に存在します。 本来、お口の中ではこの最表のエナメル質によって歯への外部の刺激は遮断されています。 しかしながら、何らかの原因によって、エナメル質の内側にあった象牙質が露出してしまうことがあります。 これは、歯髄(神経)に通じる象牙細管の管の入口が露出している状態とも言えます。 この象牙細管の入口が露出している限りは、何らかの刺激を受ければ、ダイレクトに歯髄にその刺激が伝わるため、知覚過敏症状が落ち着くことはありません。 では次に、この知覚過敏のメカニズムである象牙質、象牙細管の露出を引き起こす原因についてお話します。

知覚過敏を引き起こす原因とは?

知覚過敏の原因には主に以下があげられます。

歯肉の退縮

歯肉退縮とは「歯茎が下がっている」状態のことです。 強い力によるブラッシングによって、歯頚部と呼ばれる歯肉と歯との境目から象牙質が露出し、知覚過敏症状が生じます。 ブラッシング以外にも、加齢や歯周病による歯槽骨(歯を支える骨)の吸収が原因となることもあります。 歯肉の位置というのは、歯槽骨の位置と比例しており、歯槽骨が吸収されると併せて歯肉の位置も下がることがあります。

歯にかかる過度な力

歯ぎしりや食いしばりなどで、日常的に歯に過度な力がかかると、歯の表層のエナメル質が摩耗し、象牙質が露出してしまいます。

知覚過敏を治すには?

では知覚過敏を治すにはどうしたらいいのでしょうか。 上記のメカニズムから考えると、外部の刺激を歯髄に伝える「露出した象牙細管の入口を塞ぐ」ことが基本になります。 その方法には以下のものがあります。

歯科医院での治療

歯科では軽度の知覚過敏であれば、まずは象牙細管の入口を塞ぐ効果のある薬の塗布を行い、経過をみます。 しかし、症状が重度の場合や、あきらかにエナメル質がすり減っている場合などは、物理的に遮断するために、樹脂ですり減った部分を詰めていくことがあります。 また、一部の歯に過度な力がかかるような咬み合わせになっている場合は、咬合調整を行い、負担を和らげます。

生活習慣の見直し

知覚過敏の原因にもあったような、日常的な歯ぎしりや食いしばりを認める場合、ストレスをためない、スポーツの際はマウスガードを使用する、など、自身で歯同士を接触しないように意識した生活を心がけてもらいます。 エナメル質の摩耗が著しい場合は、さらに悪化するのを防止するために日常生活や夜間就寝時に使用するマウスピースの作製などの対応を行うこともあります。

ホームケア方法の改善・工夫

ブラッシング方法の確認を行い、ブラッシング圧の強さやブラシの毛先の当て方などの改善を行います。 また歯磨剤も知覚過敏へ対応した専用のものを使用してもらうなどし、ホームケアで知覚過敏の症状を和らげていきます。

知っておきたい、知覚過敏を放置するリスク

ここまで、知覚過敏について詳しくお話してきましたが、知覚過敏が生じる原因の中にご自身のお口の中の状況に当てはまるものはあったでしょうか。 冒頭にお話したように、知覚過敏が生じる原因があっても、症状が酷くなければそのまま経過を見る方が多くいらっしゃいます。 もちろん経過観察で症状が落ち着くケースもありますが、是非一つの知識として知覚過敏を放置するリスクも知っておいていただければと思います。

虫歯へ移行してしまう

知覚過敏が生じている歯は刺激で痛みが走るのを避ける傾向があるため、どうしてもブラッシングなどが疎かになってプラーク(細菌)が残りやすくなります。 さらに、エナメル質が磨耗し、歯に段差が出来ている場合は、よりプラークが溜まりやすくなり、虫歯のリスクが一気に上がります。 また、エナメル質よりも象牙質の方が、細菌が出す歯を溶かす酸に弱く、虫歯の進行も早く、象牙質が露出している知覚過敏の場合、より虫歯が進行しやすいといえます。 このように、当初は知覚過敏だけだったものが気づかない間に虫歯になるというリスクがあります。

歯の神経に炎症が起きてしまう

知覚過敏は、歯の神経が刺激を受けてそれに反応している状態です。 小さな刺激であってもそれが長期間続くことで、歯の神経が炎症を起こすことがあります。 さらに、痛みも大きくなってきたり、自発痛といって、特に外部からの刺激がなくても痛みが出てしまっている場合、最悪、神経を抜く処置が必要になることがあります。 このように、最初はそこまで大きくなかった症状の知覚過敏ですが、原因を探らなずに放置していると、上記のような状態になってしまうリスクもあります。

知覚過敏が起こる原因を知っておくことが重要

知覚過敏は、軽度のものであればホームケアの見直しや改善だけで症状が治まってくることもあります。 しかし、何が原因で生じた知覚過敏なのかが分かっていないままだと、症状が再発する可能性があります。 また、精査するとホームケアだけでは不十分なケースもあるかもしれません。 もし今、知覚過敏症状が出ている方は、是非歯科医院でお口全体を一度確認してもらうことをおすすめします。 まずは今起きている知覚過敏の原因が何かを知り、必要な治療があれば早い段階から行っていくことが重要です。