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2023.4.6 ビスホスホネート製剤(BP製剤)を使用している方は歯科治療に注意!

ビスホスホネート製剤(BP製剤)というお薬の名前を聞いたことがあるでしょうか。

骨粗しょう症の治療や癌の骨転移、多発性骨髄腫、骨形成不全症などの治療で使われる薬で、高齢の方に使っている方が多い薬です。

近年BP製剤の使用患者さんは増加していますが、BP製剤を継続して使っている患者さんに起こりうる副作用として顎骨壊死(がっこつえし)があり、抜歯などの歯科治療によりそのリスクが高くなることが知られています。

今回は、BP製剤とはどのような薬なのか。注意すべき歯科治療と起こりうる副作用についてご紹介します。

目次

◯BP製剤とはどのような薬なのか

◯BP製剤の種類

 ◆骨粗しょう症の治療薬

 ◆がんの骨転移の治療薬

◯注意すべき歯科治療

◯BP製剤の副作用と治療法

◯まとめ

◯BP製剤とはどのような薬なのか

骨の中では、実は自身の骨の破壊と再生を繰り返しています。

BP製剤は、破骨細胞と呼ばれる骨の作り替えが起きるときに働く細胞の働きを阻害し、骨の吸収を防ぐ薬です。

主に骨粗しょう症の患者さんや、癌や多発性骨髄腫の患者さんの骨転移の治療のために使われています。BP製剤は骨粗しょう症治療薬の主流となっていることから、高齢化とともに使用患者さんは増加しています。

◯BP製剤の種類

BP製剤には飲み薬と注射薬があります。

◆骨粗しょう症の治療薬

骨粗しょう症の治療薬で使用されるBP製剤は主に整形外科から処方され、飲み薬が使用されます。代表的なものに以下のような薬があります。

・ダイドロネル

・フォサマック、ボナロン

・アクトネル、ベネット

週に1回や月に1回などの服用間隔の薬が多いです。

また服薬の注意事項として、起床後朝食前にコップ一杯の水で飲み、服用後30分は横にならず水以外の飲食は禁止されています。

◆癌の骨転移の治療薬

癌の骨転移の治療薬としてのBP製剤は主に注射が使用されます。

代表的なものに以下のような薬があります。

・アレディア

・オンクラストテイロック

・ビスフォナール

・ゾメタ

癌の中でも骨転移を起こしやすい乳がんや前立腺がんなどの患者さんによく使われています。

◯BP製剤の副作用と治療法

歯科に関係するよく知られたBP製剤の副作用に、顎の骨が壊死する顎骨壊死があります。発生頻度は1%以下とされていますが、発症すると重篤な症状を示します。

顎骨壊死が起きると、骨露出や痛み・腫れ、神経の知覚異常、歯のぐらつき、潰瘍などの症状が現れます。

顎骨壊死は細菌感染によって起こります。お口の中にはもともと多くの細菌がおり、抜歯などの外科処置が行われると骨への感染から骨壊死や骨髄炎を発症する場合があります。

またBP製剤には血管の新生を抑制する作用や、血流を低下させる作用もあり、それにより抜歯後に骨への血流が不足して抜歯窩の治癒が遅れることも顎骨壊死の原因になると考えられます。

歯周病の悪化や口腔内の清掃状態が悪いことに加えて、飲酒や喫煙・ステロイド薬の内服も顎骨壊死のリスクファクターとなります。

BP製剤の使用期間が3年以上の方は、顎骨壊死が起きるリスクがより高くなります。

一度顎骨壊死が生じると自然治癒は難しく、抗菌薬や鎮痛剤による対処療法や重症な場合は骨の切除などの外科処置が必要となる場合もあります。

◯注意すべき歯科治療

通常のむし歯治療や、歯ぐきの上の歯石をとるといった歯科治療は問題ありません。しかし、歯を抜いたり顎の骨を削ったりといった外科治療の際には注意が必要です。

外科処置のあと骨が感染すると、抜歯窩が治癒せず骨が露出し顎骨壊死を生じるリスクが高くなります。

以前は、抜歯が必要になった際には抜歯前にBP製剤を休薬してから抜歯することが多かったのですが、最近は休薬することによるリスクも大きいため主治医の判断にはなりますが休薬せずに抜歯を行うことが多くなりました。

むし歯が進行してしまったり、歯周病が悪化して抜歯が必要になってもBP製剤を使用している患者さんは顎骨壊死のリスクを考え慎重な治療が必要となります。

また、外科処置を行わなくても合わない入れ歯を使うことで歯ぐきにできた傷から顎骨壊死が生じる場合もあります。

抜歯などの外科処置が必要にならないよう、日頃の口腔衛生と定期的な歯科受診でのメインテナンスが欠かせません。

◯まとめ

高齢化とともに、BP製剤を使用している患者さんは増加しています。BP製剤を飲んでいる患者さんは、薬を処方されたときに歯科治療は注意するようにと言われ、歯科にかかるときに渡すカードを持っていらっしゃる方もいます。

しかし、ご自身の飲んでいる薬の内容をよく把握していない方も少なくありません。

また、注射で使っている患者さんはお薬の内容を把握していない方も少なくありません。

骨粗しょう症の薬を飲んでいる方や、ご家族に飲んでいる方がいらっしゃる方はお薬の内容を確認し、歯科にかかるときは必ずお薬手帳を持参しましょう。定期的に注射などの投与を受けている場合も、詳細がわからなくても必ず受診時に伝えてください。

最近では、BP製剤だけでなく、抗RANKLモノクローナル抗体と呼ばれるデノスマブなどの薬も顎骨壊死を起こすリスクがあることがわかっています。

これらのお薬を使い始める際は、可能であれば先に歯科医院を受診して抜歯が必要な歯などの処置を受けるのが理想的です。

また、薬の使用期間が3年以上の方はさらにリスクが高くなります。

顎骨壊死の予防には、日頃の口腔衛生と定期的な歯科検診が不可欠です。ぜひこれまで以上にお口の健康に関心を持ちましょう。