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2023.4.10 手術の前にはお口のケアを!

近年、お口の健康が全身の健康に及ぼす影響が多く知られるようになり、それとともに医科と歯科の連携の重要性が高まっています。2012年に歯科では“周術期口腔機能管理”という項目が健康保険に導入されました。周術期とは、全身麻酔の手術を受ける前後の時期を指します。

今回は、周術期口腔機能管理とはどのようなものなのか。その重要性についてお伝えします。

目次

◯周術期口腔機能管理とは

◯周術期口腔機能管理の対象となる患者さん

◯周術期口腔機能管理ではどのようなことを行うのか

 ◆口腔内の細菌減らす

 ◆感染源を除去する

 ◆手術時に危険がある歯の処置をする

◯口腔衛生の大切さ

◯まとめ

◯周術期口腔機能管理とは

周術期口腔機能管理とは、その名称の通り手術をする前からお口の状態をケアし術前術後のお口の機能を管理しましょうという取り組みです。

お口の中には歯垢1gに1億以上の細菌と言われるほど、非常に多くの細菌が生息しています。全身麻酔の手術では口から気管チューブを入れます。口腔内の衛生状態が悪いと、口腔内の細菌が肺に入り術後の肺炎を引き起こしたり、重篤な感染症を生じるリスクがあります。このような術後の合併症は術後早期の社会復帰を遅らせ、患者さんのQOL低下につながります。

また術後は体力の低下などによりご自身での口腔ケアが難しくなることが多く、専門家によるサポートが不可欠です。

術前から歯科でお口の中の状態を整え、手術に臨むことで合併症を防ぎ、術後の患者さんの口腔衛生をサポートすることで健康増進に寄与することを目的に導入されました。

◯周術期口腔機能管理の対象となる患者さん

周術期口腔機能管理の対象となる患者さんは、全身麻酔の手術を受ける患者さんです。また、癌の治療のため抗がん剤や放射線治療を受ける方も含まれます。

抗がん剤や放射線治療を受けると、全身の免疫力の低下により、口腔内の細菌が原因の感染症を生じるリスクがあります。また、抗がん剤や放射線治療の影響で口腔内の粘膜炎や口内炎、味覚異常や口腔乾燥などが生じ、口腔ケアが難しくなったり、経口摂取が困難になる場合があります。症状に合わせた適切な口腔ケアを行うことで、合併症の重症化を防ぐことができます。

◯周術期口腔機能管理ではどのようなことを行うのか

◆口腔内の細菌減らす

周術期口腔機能管理の大きな目的の一つがこれです。

全身麻酔の術後の合併症として重要視されているのが、誤嚥性肺炎と人口呼吸器関連肺炎(VAP)です。

術後は手術侵襲による意識レベルの低下などにより、嚥下機能が低下し誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

VAPとは、気管挿管などを伴う人工呼吸器管理下で起こる肺炎の総称です。挿管チューブを伝わった唾液や口腔内分泌物の肺への流入や誤嚥が大きな原因となることが知られており、口腔内の細菌数を減少させることでその予防が期待できます。

周術期口腔機能管理では、術前術後に専門家による口腔ケアを行うことで口腔内の環境を整え、口腔内の細菌数を減少させます。

◆感染源を除去する

全身麻酔の手術後や、抗がん剤・放射線治療後は全身の免疫力が低下します。

お口の中に炎症の原因となる歯があると、術前は無症状のものであっても免疫力の低下により炎症が急性化しそれが全身に波及する恐れがあります。

特に抗がん剤や免疫抑制剤の投与、放射線治療を行う場合は重篤な合併症を引き起こす恐れがあり、術前に感染源を除去することが必要です。

歯の状態によっては場合によっては、抜歯が必要となります。

◆手術時や術後に危険がある歯の処置をする

お口の中にぐらぐらする歯や被せ物がある場合、手術の際の気管挿管時などに歯が抜けたり被せ物が取れたりする場合があります。特に上の前歯に動揺がある場合は注意が必要です。

また、とがっている歯や詰め物がある場合は抗がん剤治療や放射線治療により粘膜炎や口内炎ができた場合に、粘膜を傷つけ痛みの原因となることが考えられます。

術前に治療を行い、処置しやすい口腔内環境にすることが必要です。

◯口腔衛生の大切さ

お口の中の健康が糖尿病や高血圧・心疾患など全身の健康につながることが広く知られてきています。

特に病気により全身の健康状態が悪化したときは、口腔内の衛生状態がより重要になります。しかし、病気になったり体調が悪くなってからお口の状態を管理することは非常に困難です。

元気な時から健康なお口を維持することがとても大切です。

◯まとめ

お口の健康はもちろん日ごろから大切ですが、身体の病気により手術や治療を行うと、身体の免疫力が低下するため、より口腔内の衛生状態や環境が重要となります。

特にがんの手術などで、一刻も早い治療が必要な場合は手術の日程が優先されるため感染源となる歯をゆっくり治療する時間がなく、時間をかけて治療をすれば残せる歯であっても抜歯という選択肢が取られることも少なくありません。

そうならないためにも、日頃からお口の健康に気を使い口腔内の衛生状態を保つことが不可欠です。

いつ病気になるかは誰にもわかりません。是非定期的な歯科受診でお口の健康を保ちましょう!