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2023.4.17 意外と関係している歯と認知症

こんにちは

歯の本数が減ると認知症になるリスクが高まるという話があることをご存知でしょうか。

歯の本数が20本を境に、認知機能の低下が生じることが報告されています。

歯の本数が減ると同時に認知機能が低下するのは、歯と認知症に深い関係があるからです。

今回は、認知症と歯の深い関係性についてお話しします。

目次

◯認知症ってどんな病気?

◆認知症について

◆認知症の種類

◆認知症の治療法

◯噛むということと認知症

◆噛むと生じる刺激

◆噛むことと脳の働き

◯歯周病とアルツハイマーの関係性

◆アルツハイマー発症因子のひとつアミロイドβ

◆歯周病菌とアミロイドβ

◆歯周病が進行すると

◯まとめ

◯認知症ってどんな病気?

まずは、認知症という病気についてご説明します。

◆認知症について

認知症は、成長発育を通して身につけた知能や記憶、判断力、理解力、意欲、性格などが脳の異常によって障害され、日常生活や社会生活が円滑に送れなくなる病気です。

◆認知症の種類

一言で認知症と言っても、原因によっていくつかに分けられます。

よく知られているのが、アルツハイマー型認知症です。

これは、脳神経の異常によって起こる認知症です。

このほかに、脳の血管の異常によって起こる血管性認知症や、神経細胞に出てくる異常なタンパク質によって生じるレビー小体型認知症などがあります。

◆認知症の治療法

日常生活や社会生活、人間関係に大きな影響を与える認知症の治療法は研究段階です。

脳の神経細胞に作用して、症状の改善を図る治療薬はありますが、現在、根本的な治療法が確立されていないのが実情です。

◯噛むということと認知症

噛むという行為と認知症は一見すると関係性がなさそうですが、実はそうではありません。

歯の本来の役割である食べ物を噛むという行為が脳の働きに関係しています。

◆噛むと生じる刺激

食べ物を噛むという何気ない動作をすると、ヒトはお口の周りの咀嚼筋という筋肉を使いますし、食べ物を飲み込むときは舌や喉の周囲の筋肉を使います。

歯にも食べ物を噛んだときの刺激は伝わり、歯の周囲の歯根膜という歯と骨をつなげている靭帯のような部分を刺激します。

食べ物を噛むと、歯やお口の周囲のさまざまな部分が刺激され、その刺激が脳に伝わります。

脳は刺激を受けると働きが活発化するので、しっかりと食べ物を噛むという行為は、脳の活動性をアップさせることにも繋がります。

◆噛むことと脳の働き

食べ物を噛むという刺激が、脳の中でも特に前頭前野という部分の働きを活発化させることが明らかになっています。

前頭前野は、脳の中で記憶や感情、意思決定などに関係する部分です。

食べ物をしっかり噛むことは、脳、とりわけ記憶力や感情のコントロール力などを高めるというわけです。

見方を変えれば、歯の数が減って噛めなくなると、記憶力や感情のコントロールにも悪影響が生じることになります。

◯歯周病とアルツハイマーの関係性

歯の代表的な病気のひとつである歯周病は、アルツハイマー型認知症に関係しています。

◆アルツハイマー発症因子のひとつアミロイドβ

(諸説ございますが)アルツハイマー型認知症の発症原因のひとつに、アミロイドβというタンパク質の関与が指摘されています。

アミロイドβ自体は、若い人にも存在するタンパク質なのですが、アミロイドβが脳の中から排出されず、脳の中にたまってしまうと、記憶力が低下します。

そして、やがてアルツハイマー型認知症を発症すると考えられています。

◆歯周病菌とアミロイドβ

歯周病は、歯周病菌が歯を支える歯肉や歯槽骨などの歯周組織を傷つける病気です。

アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβが作り出される原因はさまざまですが、そのひとつが歯周病菌です。

歯周病が悪化すると歯周病菌が増えます。

すると、人の体に備わっている免疫システムが反応し、歯周病菌を排除するために免疫細胞が攻撃し始めます。

免疫細胞の攻撃により、炎症反応が生じるわけですが、このとき、炎症反応に応じるようにアミロイドβが作り出されることが明らかになっています。

アミロイドβはこのような形で歯周病に関係しています。

◆歯周病が進行すると

歯周病はお口に生じる病気ですが、困ったことに歯周病菌はお口の中にとどまっているわけではありません。

歯周病菌は、血液の流れによって、お口の中から全身に広がっていく性質があります。

このため、体内の各所で炎症反応が起こされ、脳以外の身体の各所でアミロイドβが作り出されます。

そして、各所で作られたアミロイドβが血液の流れによって脳に集まります。

脳から出ていく以上に、脳にたまってしまう結果、脳の中でアミロイドβが増えてアルツハイマー型認知症になると考えられています。

◯まとめ

今回は、認知症と歯の関係性についてお話ししました。

認知症は、身につけた知能や記憶、判断力、理解力、意欲、性格などが低下し、社会生活や日常生活に支障をきたす病気です。

原因については、未だ明らかになっていないところが多いのですが、『食べ物を噛むこと』『歯周病菌』などとの関係性が指摘されています。

歯の本数で言えば、20本を下回ると認知症になりやすい傾向があり、歯周病を放置して歯周病が進行するとアルツハイマー型認知症の発症リスクが高まります。

このように、一見すると認知症とは関係のなさそうな歯ですが、意外と認知症に関係しています。

当院では、歯を少しでも長持ちさせて、できる限りご自身の歯で食べていただけるようにすることをとても重視して診療に取り組んでいます。

このことが、結果的には認知症のリスクを下げることにも繋がります。

当院で一緒に歯の健康維持と認知症予防に取り組みませんか?