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2023.6.22 訪問歯科と介護はどのような関係なのか?

目次

◯訪問歯科とは

 ◆介護とは

◯訪問歯科の役割

 ◆口腔内の検査や治療を行うことで、高齢者の口腔ケアを支援する
 ◆介護施設や在宅での歯科治療を提供することで、高齢者の歯科医療のアクセスを改善する
 ◆口腔内の健康状態を定期的にチェックし、早期発見・治療につなげることで、全身の健康を維持する

◯介護の役割

 ◆高齢者の口腔ケアの補助を行うことで、口腔内の清潔を維持する
 ◆高齢者の口腔ケアに関する教育を行うことで、口腔疾患の予防につなげる

◯役割分担の重要性
 ◆訪問歯科と介護の役割を明確に分担することで、効率的かつ質の高い口腔ケアを提供することができる
 ◆介護職員は、口腔内のケアを行いながら、口腔内の異常を早期に発見し、訪問歯科医の受診を促すことができる

そもそも訪問歯科と介護とは

訪問歯科とは

訪問歯科とは歯科医師や歯科衛生士がお体に障害を持っている方、病気のためご自身のみで歯科医院へ通院するのが困難な方のために、ご自宅や施設、病院に訪問して歯科治療を行う歯科医療サービスになります。

介護とは

高齢者などの介護が必要な方の身のまわりをお世話したり、自立の支援をすることです。 つまり、ひとりで日常生活を送ることが困難な方へ食事や入浴をはじめとした身体的、精神的な支援をし、自立を目指します。

訪問歯科の役割

口腔内の検査や治療を行うことで、高齢者の口腔ケアを支援する

訪問歯科では患者さんのお口の中の状態だけではなく、飲み込む力を調べることができます。

お口の中の状態の検査とは歯周病の状況や虫歯の有無、入れ歯があっているかなどです。

飲み込む力の検査とは嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査です。食事などを飲み込む時の様子を見る検査です。唾液や痰がたまっているかどうか、食物を飲み込んだ後にのどに残ったりしていないか、胃に繋がる食道ではなく肺に繋がる気管へ入り込んでいないかなどを調べることができます。それにより嚥下機能評価、つまり飲み込む力の評価を行うことができます。 

介護施設や在宅での歯科治療を提供することで、高齢者の歯科医療のアクセスを改善する

高齢者は足腰が弱っている方も多く、歩くのに時間がかかる方も多いです。それだけではなく、天候によっては移動が危ないこともあります。例えば強い風の影響でよろけて転倒したりお身体をどこかにぶつけてしまうリスク、雨や雪で足元が滑りやすくなっていることでの転倒のリスクもあります。

おひとりで歯科医院へ行くのが困難な場合はご家族などの介助者の同行も必要になってきます。

訪問歯科は歯科医院へ行かなくても歯科治療を受けることができます。移動に伴うご本人や介護者の負担が少なくなるというメリットだけでなく、ご自宅などで行うためリラックスして治療を受けられるというメリットもあります。

口腔内の健康状態を定期的にチェックし、早期発見・治療につなげることで、全身の健康を維持する

お口の健康はお身体の健康に比べておろそかにされてしまいがちです。歯科医院への受診が難しいことで、お口のトラブルを放置しがちになることが多いです。お口のトラブルは放っておいて良くなることはまずないので、その結果、全身への不調につながります。

まず、お口の中が汚れていると虫歯や歯周病のリスクがあがり、放っておくとお口の中の細菌が増えます。

そして、お口の中が汚れていると様々な病気に悪影響を及ぼすリスクがあります。

特に歯周病は心疾患や糖尿病などに大きな影響を与えることが分かっています。またしっかりと噛むことで脳を活性化させて認知症の進行を遅らせたり予防する効果があることもわかっています。これはご自分の歯だけでなく、入れ歯でも予防効果があります。

またお口の中が汚れていると誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。

誤嚥性肺炎とはお口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に誤って気管支や肺に入ることで起こる肺炎です。

お食事中にむせたりすることはありませんか?食べ物や飲み物、唾液が食道ではなく肺に繋がる気管やその先の肺に入ってしまうと、自衛のために勢いよく空気を吐き出して食べ物を外に出そうとします。 これがむせです。

高齢になるとむせることが上手くできなくなってきます。更にお口の中が汚れていると細菌が増えた環境になっているため、誤嚥性肺炎のリスクがあがります。

お口の中を清潔にすることによって、これらを防ぐことができます。

また飲み込む力を調べることで食事の形態の指導、飲み込む力を回復させるための訓練をすることができます。

お口の健康の改善によって美味しく食べることができるので会話が楽しく感じられます。それによりクオリティ・オブ・ライフの向上、孤独感の改善などにもつながります。

介護の役割

高齢者の口腔ケアの補助を行うことで、口腔内の清潔を維持する

身体の機能が低下してくると歯ブラシがうまくできなくなってきます。

できるだけ本人が頑張ることが大切ですが、磨ききれないところは介助者が手助けしてあげることが必要になります。

高齢者の口腔ケアに関する教育を行うことで、口腔疾患の予防につなげる

お口の中は髪の毛が入っただけでもすぐ気付く敏感なところです。また、人に見られたり、触られたりすることがないところです。そのため、嫌がる方もいるのでしっかり説明することが大切です。

しかし、拒否があるからと口腔ケアを行わないでいると全身の状況も悪化させる可能性があります。歯科医師や歯科衛生士の専門的な指導と支援を受けながら、無理せず焦らずに少しずつ続けていくことが大切です。

役割分担の重要性

訪問歯科と介護の役割を明確に分担することで、効率的かつ質の高い口腔ケアを提供することができる

訪問歯科では歯ブラシではとれない歯石などの除去や虫歯の除去、入れ歯の作成や調整などの治療を主に行います。また介助者への指導を行うことで日々の口腔ケアの質を上げて予防に繋げていきます。

介護を行う介助者は日々の歯ブラシなどをしっかり行うことでお口がさっぱりする喜びを与え、予防に繋げていきます。 

介護職員は、口腔内のケアを行いながら、口腔内の異常を早期に発見し、訪問歯科医の受診を促すことができる

介助者は口腔ケアをすることでお口の中の変化に気付くことができます。本人が気になること、また介助者が気になることがあれば些細なことでも担当する訪問歯科医へ連絡することが大切です。それにより、悪化する前に治療することができます。

また連絡がなくても訪問歯科医が定期的にチェックすることで、介助者が気付かなかった変化に気付くことができます。