たまに患者さんに「何歳から入れ歯をいれないといけないんですか?」と聞かれることがあります。
入れ歯は年齢によっていれないといけないものではありません。死ぬまで入れ歯とは無縁の方もいれば、稀にはなりますが実は永久歯と呼ばれる大人の歯がはえてくる前に入れ歯が必要になる子供もいるのです。
ここでは、入れ歯とはいったいなんなのかを説明していきたいと思います
目次
○入れ歯とは何?
◆入れ歯とは
◆入れ歯の種類
○入れ歯が必要になる原因
○入れ歯が必要になる年齢とは
○入れ歯のメリット、デメリット
◆メリット
◆デメリット
○まとめ
◯入れ歯とは何?
◆入れ歯とは
入れ歯とはむし歯、歯周病などなんらかの原因で歯を失ったときに、失った歯を補って食事をしやすくしたり、見た目を回復するための治療器具です。
歯を支える床と失った歯を補う人工的な歯を持った取り外しの治療器具のことです。
床と呼ばれるのは歯茎や顎の粘膜に触れる、一般的にはピンク色をした土台部分です。そこの上に人工的な歯がのっているようにみえます。
入れ歯には[部分入れ歯]と[総入れ歯]の2種類があります。どちらも保険が適用可能になります。
ちなみに歯を失ったところを補うための治療方法は入れ歯だけでなく、ブリッジ、インプラントなどもあります。
◆入れ歯の種類
・部分入れ歯
部分入れ歯は、1本~数本の歯を失った場合に治療によって作られる器具で残っている歯が1本でもあれば部分入れ歯となります。
部分入れ歯は自分の歯の代わりとなる人工の歯と粘膜の上に乗るピンク色の床、残っている歯に固定するためのクラスプと呼ばれる金属のバネからなります。
・総入れ歯
総入れ歯とは、上下のどちらの顎でもかまわないのですが、自分の歯がまったくない場合に使われる器具になります。
なので歯が1本も残っていない場合には、総入れ歯による治療になります。
総入れ歯は床と呼ばれる粘膜の上にのっているピンク色の土台に人工の歯が並んでいます。食事をする時の噛み合わせで、見た目を回復させることができます。
◯入れ歯が必要になる原因
歯を失ってしまうと入れ歯が必要になってきます。虫歯、歯周病だけではなく、外傷といって転倒などの予想もしない事故なども原因としてあげられます。
歯周病は歯を失う原因として特に大きなものになります。実は、歯周病は歯科分野の中で唯一の生活習慣病に認定されています。軽度なものも含めると30代でも35%、つまり3人に1人が歯周病に罹患していると言われています。
歯周病は痛みなどの自覚症状がすくないまま進行していきます。痛みを感じたり、歯がぐらぐらすると感じるようになってからおかしいなと感じて歯科を受診する方も多いです。その頃にはすでに重症となっていることがほとんどで、歯を抜かなくてはいけなくなることもあります。
◯入れ歯が必要になる年齢とは
入れ歯は何歳くらいから必要になるのでしょうか。
入れ歯は歯を失ったところを補うための治療器具になります。
つまり、歯を失う年齢が入れ歯が必要になる年齢といえます。
歯は親知らずを含めて32本ありますが、中には親知らずがはえてこない人もいますから基本的には28本と言われています。
しかし、生まれつき歯の本数が少ない人もいます。そうすると早期に入れ歯が必要になることもあります。
だいたい45歳くらいから歯を失い始めます。
そのため、45歳くらいから入れ歯が必要になってきますが、失った歯を補う治療方法は入れ歯だけではありません。インプラント、ブリッジといった他の治療方法もあります。
40代や50代といった比較的年齢が若い方は入れ歯ではない他の治療方法を選ぶ方もいます。しかし、失った歯の本数が多くなるとブリッジという治療方法は選べなくなることもあります。
そのため失った歯の本数が増えてくる60代になると入れ歯を必要とする方が増えてくるだけでなく、総入れ歯になる方も増えてきます。
◯入れ歯のメリット、デメリット
◆メリット
・手術がいらない
インプラントと異なり、外科的な手術を必要としません。そのため、ご高齢だったり持病がある方でも治療が可能なことがほとんどです。
・保険適用
インプラントと異なり、入れ歯では保険が適用となります。
より審美性が高い自費の入れ歯、より違和感の少ない自費の入れ歯なども選択することができます。
・治療が短い
失った歯の本数にもよりますが、入れ歯は2~5回ほどの治療回数、期間としては1か月から1ヶ月半ほどで作ることができます。
インプラントでは治療期間はだいたい4~6か月ほどかかります。比べると治療期間ぎ短くてすみます。
・着脱できる
入れ歯は取り外しを行うものです。そのため、お手入れが簡単です。
◆デメリット
・違和感がある
ある程度の大きさのある器具がお口の中に入るので最初は違和感があります。少しずつ慣れていきます。
しかし、お口の中は少しずつ変化していきます。そのため、入れ歯があわなくなってきたり、またバネが使っているうちにゆるくなってくることがあり、外れやすくなることがあります。その場合は修理が必要になります。
・硬いものが食べにくい
入れ歯は自分の歯と比べて咬む力は半分以下、約40%と言われています。個人差はもちろんありますから、しっかりと咬める方もいます。しかし、基本的には咬む力は弱くなるため、食べにくくなることがあります。
・バネが目立つ
保険の入れ歯ではクラスプと呼ばれる金属のバネが場所によっては目立つことがあります。
・脱着が必要
入れ歯は少なくても1日1回は外してお手入れをする必要があります。脱着がわずらわしいと感じる方もいます。
◯まとめ
入れ歯は年齢でいれなくてはいけないというわけではありません。80歳でもたくさんご自分の歯をお持ちで、歯を失っておらず、入れ歯を必要としていない方もいます。
入れ歯になるのは歯を失うから、そして歯を失う原因としては歯周病があげられます。歯周病は自覚なく進行していく病気です。入れ歯にならなくてすむためにも、定期的な歯の検診は大切になります。
しばらく歯科医院に行ってないなと思った方は1度受診することをおすすめします。