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2024.3.21 入れ歯の適合性:適切な審美性と機能性のバランス

みなさんは入れ歯にどんなイメージがありますか?
見た目の悪いものだったり、しゃべりづらい、食べづらいもの、年寄りの象徴と思うかもしれません。
入れ歯はなるべく小さく作れば外見でわからなくなると思うかもしれませんが、入れ歯は小さくすればするほど安定性が悪くなり、使いづらくなってしまいます。
見た目の良さである「審美性」と、よく食べられるという「機能性」は両立するのでしょうか?
今回は入れ歯の審美性と機能性についてお話します。

目次

◯入れ歯とは
 ◆入れ歯の種類
 ◆入れ歯の作り方
 ◆入れ歯のよくあるお悩み
◯入れ歯の適合性とは
◯入れ歯の審美性とは
◯入れ歯の機能性とは
◯審美性、機能性を両立させた適合の良い入れ歯とは  
◯まとめ

◯入れ歯とは

入れ歯とは、失った歯を補うために口の中に装着する人工の歯のことです。
取り外し可能で、毎食後に取り外して洗ったりケアをします。

◆入れ歯の種類

入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。

・部分入れ歯

失った歯が全体の一部で、自分の歯が残っている場合の入れ歯。
失った歯の隣の歯など残った歯に金具をかけ、支えられます。人工の歯と歯ぐきは失った歯の生えていた歯ぐきの上に乗り、歯ぐきにも支えられています。

・総入れ歯

全ての歯を失った場合の入れ歯。
人工の歯と歯ぐきが、歯を失って残った歯ぐきの上に乗り、支えられて安定します。

◆入れ歯の作り方

入れ歯は以下のような一連のステップで作られます。

・診断と評価

患者さんの口の中の状態を評価し、失った歯の数や位置、残った歯の健康状態などを確認し、適切な治療計画を立てます。

・型取り

口の中の歯ぐきや歯の形を取ります。これを基にそれぞれの口の中を表す模型を作り、この模型の上で入れ歯のパーツを作っていきます。

・かみ合わせの型取り

上の歯の状態と下の歯の状態の型取りができたら、その上下がどのように向き合っているか、噛み合わせの様子を型取りします。

・試適

「ろう義歯」といわれる入れ歯の試作品が作られ、患者さんの口に実際に装着してみます。入れ歯の適合性やかみ合わせの確認をし、必要に応じて調整したり型の取り直しをしたりします。

・完成

最終的な入れ歯が完成し、装着されます。
取り外しがスムーズにできるか、どこか歯ぐきに強く当たっている部位がないか、均等にかみ合っているかを確認し、必要に応じて調整が行われます。

以上のステップを経て、入れ歯が作られます。

◆入れ歯のよくあるお悩み

入れ歯は取り外しのできる人工の歯なので、なかなかご自身の歯のように思い通りに食事をしたりしゃべったりすることができない場合もあります。

入れ歯によくあるお悩みとしては
①部分入れ歯の金具が見えて気になる
②自分の残った歯やイメージと異なる人工の歯や歯ぐきが入っている
③入れ歯と歯ぐきの間に隙間があり、食べ物が入る
④異物感があり、しゃべりづらい
⑤食べ物をうまく噛み切れない
⑥すぐ外れてしまう
などがあります。

このようなお悩みはどうしたら解消できるのでしょうか。

◯入れ歯の適合性とは

入れ歯の適合性とは、入れ歯が残された歯や歯ぐきの形に合っているか、ということです。

前述したお悩みの
③入れ歯と歯ぐきの間に隙間があり、食べ物が入る
⑥すぐ外れてしまう
などは入れ歯の適合性が悪いと言えます。

入れ歯が支えられる歯ぐきは軟組織のため、筋肉やアゴの動きに合わせて形が変わります。そのため、骨格や表情やあごの動かし方なども含めて精密に型取りをして製作する必要があります。

◯入れ歯の審美性とは

入れ歯の審美性とは、入れ歯の見た目がきれいかどうかということです。

前述したお悩みの
①部分入れ歯の金具が見えて気になる
②自分の残った歯やイメージと異なる人工の歯や歯ぐきが入っている
などは、入れ歯の審美性が悪いと言えます。

目立たない材料を使ったり、外から見てわかりづらい入れ歯の設計をしたり、材質を天然の歯や歯ぐきに近いものや理想のものを選択したりすることが大切です。

◯入れ歯の機能性とは

入れ歯の機能性とは、よく噛める、よくしゃべれるなど失った歯を補う機能を果たしているかどうかということです。

前述したお悩みの
④異物感があり、しゃべりづらい
⑤食べ物をうまく噛み切れない
などは、入れ歯の機能性が悪いと言えます。

入れ歯の設計の際にあごの形や動きに精密に合っているか、人工の歯の種類や並べ方はどうか、違和感の少ない材料を選択できるかということが大切になってきます。

◯審美性、機能性を両立させた適合の良い入れ歯とは

入れ歯の機能性にすぐれるものは形態も美しいと感じられることが多いです。
「審美性」と「機能性」は切り離せないものであり、美しく歯を治すことでよりよく噛め、かつ顎の動きもスムーズになり、入れ歯も長く安定して使えます。

保険診療の範囲内での入れ歯は、最低限失った歯の代わりになるものを作ることが目的で、審美性や機能性を兼ね備えた入れ歯を作ることは難しい場合があります。
自費診療の入れ歯であれば天然の歯や歯ぐきに近い形や色にこだわったり、理想の状態に近づけることで自然で美しい見た目を再現することができます。

◯まとめ

一般的な入れ歯は見た目の悪さやよく噛めないと言ったマイナスなイメージが強く、敬遠されがちな治療法です。
しかし、場合によってはほとんど入れ歯と気付かれない設計にしたり、自然な材料を使い、違和感の少ない快適な入れ歯を実現することもできます。
しっかり噛めるように失った歯を適切に補い、生活の質を向上させましょう。