歯ブラシとともに歯磨きのときに欠かせないのが歯磨き粉です。
何気なく普段から使っている歯磨き粉ですが、歯磨き粉にもいろいろな種類があり、それぞれに多種多様な成分が配合され、製品を特徴づけています。
歯磨き粉を選ぶには、種類や成分などを知っていると便利です。
今回は、歯磨き粉の種類と歯磨き粉の効果についてご紹介します。
この記事をお読みになると、歯磨き粉の種類や成分の効果についておわかりいただけると思います。
目次
◯歯磨き粉の種類
◆成分からみた種類
◆形状からみた種類
◯歯磨き粉の効果
◆プラーク除去
◆虫歯予防
◆歯周病予防
◆知覚過敏予防
◆口臭予防
◆やに取り効果
◯まとめ
◯歯磨き粉の種類
歯磨き粉の種類について、ご紹介します。
◆成分からみた種類
現在、市販されている歯磨き粉は、”医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保に関する法律”により、医薬部外品歯磨剤と化粧品歯磨剤に分けられます。
①医薬部外品歯磨剤
医薬部外品歯磨剤は、歯磨き粉の基本成分である清掃剤、発泡剤、湿潤剤、香味剤、粘結剤に加え、薬効成分が配合されています。
この薬効成分により、さまざまな効果を得ることができます。
現在、国内で市販されている歯磨き粉の9割以上が医薬部外品歯磨剤です。
②医薬品歯磨剤
医薬品歯磨剤も、薬効成分が配合された歯磨き粉です。
正確には第3類医薬品なので、医薬品といっても副作用はほとんどありません。
医薬部外品歯磨剤と違い、医薬品歯磨剤の薬効成分は病気の治療を目的としているため、より効果効能の高いものになります。
③化粧品歯磨剤
化粧品歯磨剤には、医薬部外品歯磨剤と違い、薬効成分が含まれていません。
歯磨き剤としての基本成分だけが含まれており、歯の汚れを取り除くだけです。
◆形状からみた種類
歯磨き粉の性状からも分類できます。
・ペーストタイプ
一般的にイメージされる歯磨き粉が、ペーストタイプです。
発泡剤が含まれているので、スッキリ感が得られやすいですし、研磨剤の効果で着色汚れの予防効果もあります。
反面、発泡剤の効果で泡立ちやすいので、歯磨き時間が短くなりがちな上、磨けてなくてもスッキリ感により磨けた気になってしまいやすいです。
・ジェルタイプ
ジェルタイプの歯磨き粉は、発泡剤が極めて少なく、歯磨きのときに泡立ちにくいので、薬効成分がお口の中にとどまりやすいです。
また、研磨剤が配合されていない製品がほとんどなので、歯を傷つけることがありません。
反面、研磨剤が入っていないので、歯の着色汚れが取り除けないので、歯に色がつきやすいです。
◯歯磨き粉の効果
歯磨き粉の効果について紹介します。
◆プラーク除去
プラークは、歯の表面についている白いカスのようなものです。
そこには虫歯や歯周病の原因菌が潜んでいるので、歯磨きで取り除くことが大切です。
時間が経つにつれて、プラークは歯の表面に強くこびりつくようになります。
そこで、効果的な薬効成分が、デキストラナーゼです。
デキストラナーゼには、プラークを分解する効果があり、プラークを取り除きやすくします。
◆虫歯予防
虫歯予防の効果は、歯質強化作用、再石灰化促進作用、酸産生抑制作用の3つです。
これらの作用がある薬効成分は、モノフルオロサンリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化ナトリウム(NaF)です。
おすすめは、フッ素濃度が1450ppmの歯磨き粉です。
なぜなら虫歯予防の効果がたいへん高いからです。
ただし、6歳未満の方には使えないのでご注意ください。
◆歯周病予防
歯磨き剤の薬効成分の歯周病予防への効果は、殺菌作用、抗炎症作用、血行促進作用などにより生み出されます。
・殺菌作用
殺菌作用があるのは、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ゼトニウム、ラウロイルサルコシン塩(LSS)などです。
歯周病の原因を殺菌し、歯周病になりにくくします。
・抗炎症作用
抗炎症作用があるのは、トラネキサム酸、βーグリチルレチン酸、εーアミノカプロン酸などです。
歯肉炎や歯周炎では、歯周病菌の出す内毒素により歯肉が炎症を起こします。
炎症作用の結果、歯の周りの歯肉が腫れたり、骨が吸収されたりします。
そこで、炎症作用を抑えて、歯肉や骨のダメージを防ぎます。
・血行促進作用
血行促進作用があるのは、ビタミンEです。
血液には、栄養や酸素、免疫細胞などが含まれており、全身の細胞にそれらを送り届けます。
血行を良くすると、歯肉などの活動性や免疫力が高まります。
歯肉のダメージの回復効果や歯周病菌への免疫作用により、歯周病になりにくくなります。
◆知覚過敏予防
虫歯でもないのに歯が冷たいものにしみる象牙質知覚過敏症にも効果があります。
・象牙細管封鎖作用
象牙質には、歯髄に至る象牙細管というとても細い管が無数にあります。
歯肉が下がると、象牙質が露出し、象牙細管が表面に現れます。
象牙細管に温度刺激が伝わることで象牙質知覚過敏症が起こると考えられています。
露出した象牙細管を塞ぐ作用を持つのが、乳酸アルミニウムです。
象牙細管を塞いで象牙質知覚過敏症を防ぎます。
・温度刺激伝達遮断作用
温度刺激が歯の神経に伝わるのを防ぐのが、硝酸カリウムです。
冷たい刺激が伝わりにくくすることで、象牙質知覚過敏症の不快な症状を抑えます。
◆口臭予防
口臭の原因のほとんどは、お口の中の汚れや歯周病などの歯のトラブルと言われています。
中でもお口の汚れをお口の中の細菌が分解するときに出てくるガスが、口臭の原因の大部分を占めます。
そこで、歯周病菌と同じく、お口の中の細菌を殺菌することで、口臭の元となるニオイが出にくくします。
◆やに取り効果
ポリエチレングリコールという薬効成分にはタバコのヤニを分解して溶かす作用があります。
◯まとめ
今回は、歯磨き粉の種類についてお話ししました。
現在、市販されている歯磨き粉は、『医薬部外品歯磨剤』『医薬品歯磨剤』『化粧品歯磨剤』の3種類ですが、そのほとんどが『医薬部外品歯磨剤』です。
医薬部外品歯磨剤も、薬効成分が配合されています。
市販されている歯磨き粉の大部分が、医薬部外品歯磨剤なので、選ぶときには気になる症状に合わせてこちらを選ぶといいでしょう。
たくさんの種類があって選びにくいという方は、当院では皆さんに合わせた最適な歯磨き粉をご紹介していますので、ぜひ当院でご相談ください。